第17話 コウナイデサワガナイ

「ギャァァァァ!!」


フワ坊はホームに倒れた。

ギャラクシーの一撃は相当なもので

メディシンボールゼットのキムチャのように

うずくまり、ブスブスと煙影が音を立てた。


「く、クソォォォォ!!体がうごかねえぇ!

腹減ったぁぁ!」


唸る獣の横でトンマも膝をついた。


「血を流しすぎたな。俺たちはここまでだな。」


カンザスが冷静に答えた。


「ブラディさん達なら大丈夫だ。」


チンギスの言葉にトンマも頷きトンチンカンは

一度戦線離脱となった。



ゴオオ


ホームを駆け抜ける冷たい風は未だ止まらず

これから起こるであろう戦いのプレリュード

のようであった。


カツカツ


ホームを抜け駅の構内を走るカゲル達は

まるで新宿駅にいるような大量の人の気配に

気づいた。


「おい、ブラディ、、。」


「ああ…。全部影だ…!」


老若男女様々な影がこちらに気づき

向かってくる


「ぐぎゃぁぁぁぁ!!」


「雑魚は任したぜカゲル…!5秒くれ…!」


「了解!!」


阿吽で二人は動いた。


「こい!!シッコクノツカイ!!」


ブゥン


カゲルを映す影は鞘状になり左利きのカゲルの

右腰付近に飛んできた。


ググッ  


ジャキン


影の鞘の中から黒曜石のように輝く刃が現れた。


女性、老人の影が襲いかかる。


ザクザクザク!


頭部、胸部を吹き飛ばし影を消滅させ

カゲルは進む。


「手応えがない!!ブラディこいつ等は

カオスだ!どこかに本体が…。」


「ギャァァァァス。」


ザクッ


「ああ…。了解だぜ相棒…。俺が炙り出す…。」


その間にも続々と増殖する影は一斉にカゲルに襲いかかる。


20体ほど切ったシッコクノツカイに変化が

起こった。


パリ、パリパリッ


「剣にヒビが⁈」


驚くカゲルのカオスにシッコクノツカイが呼びかけた。


「なあに、大丈夫さ、それはヒビでありヒビではない。オレは切ったカオスの量でレベルアップする!これはサナギの羽化みたいなものさ!技を一つ追加しといたぜ!」


心の奥底に骨伝導するような声でツカイは話した。


「お前、、喋れるんだね、、。」


驚くカゲルのの問いにツカイは答えず押し黙り

次の瞬間。


パリイイイイン


剣は羽化した。刃先は1センチほど伸び

黒色の中にも艶やかさが付加されていた。


羽化中にも関わらず襲いかかる影達にカゲルは

追加された技を見舞った。


「シッコクノ風!!!!」


ブオオン!!


剣が起こした風が周囲の影を巻き込み

大きな竜巻となって敵を襲った。


構内の全ての影達は風圧で壁に吹き飛ばされちぎれて消えた。


「カゲル…。やるじゃねえか…。次はオレの番だ…。」


ガゥン!!


ブラディは駅本体を銃で撃ち抜いた。


「ブラディ?なんで⁈え⁈」


ブラディは驚くカゲルを更に驚かせた。


「なぜ、オレの場所がわかった?!

なぜ、俺がお前等の前に立っている⁈」


そこにはカゲル以上に驚く標的のジンが

目の前に現れていた。


「5秒やる…。考えてみな?」


ブラディは不敵に微笑んだ。

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