第7話 アジトノナカデ
ギィイイイ
ドン
扉は深く閉ざされた
二百平方メートル四方、コンビニ程の空間の
天井の電球は消え、薄い翳りの中で数個の影が蠢いていた。
「ブラディ。きたか。。」
この空間の恐らく上座にあたるであろう席に
鎮座する細身の影はゆらめきながらたずねた。
「ああボス…。相棒を連れてきたぜ…。」
「どうも、、サトウカゲルです、、。」
蝋燭の火すら吹き消せない程のカゲルの声が
室内に木霊すると、右側の席に座っていた
熊のような影がブルブルと震えた
「ギャハハハハ!!首もすわってなさそうな
ガキじゃねえか⁈⁈天下のブラディさんも
感が鈍ったんじゃぁねえかぁぁ⁈」
ビリビリ!!
あまりの大声に室内はグラグラと揺れた。
「ヴァズギア黙ってろ…。その無駄にデカい的を蜂の巣にしてやってもイイんだぜ…。」
「アアン⁈その前に手前がミンチだぞ!!」
「俺に蜂の巣にされた奴は鉄の味のする
蜜の中で溺れ死ぬ…。試して…。みるか…?」
「やっでミロや!!ゴラァぁぁ!!」
ジャキ!!グワッ!!
「テメェら、、やめろ、、。」
拳銃と拳を取り出した2人の荒くれを正体不明の
影が押さえつけた。
「グ…。」
「ぐきゃぁぁぁ!!」
地に頬を押さえつけられた2人は一ミリも動けず言葉を発するのみとなった。
「テメェら、、会話もできねぇ程バカなのか?俺はそんな馬鹿どものボスなのか⁈
ええ、、⁈ オイ、、⁈」
ボスの瞳孔は薄暗闇の中で更に暗く深く開いており、それをみたカゲルの足は痙攣といっても
大袈裟でないほど震えた。
「ボス…。すまねえ…。熱くなっちまった…。」
「ボスぅぅ!勘弁してくれぇぇぇ!」
2人の服従を確認した後、ボスは続けた。
「ブラディ、ヴァズギア、、。
俺たちの目的は何だ、、?」
地を這うような声だった、、。
「黒の日に現れる、炎使いを殺すこと…。」
「そして革命だ!!」
ブラディにヴァズギアが続いた。
スゥ、、
影が解かれた。解放された2人は咳き込みながら
自らの席に座り直した。
「わかってるなら手間を取らせるな、、。」
ボスは瞳孔を虹彩の鞘に納め仕切り直した。
「すまんな新入りくん、、。暴れ馬ばかりで、、。
俺がシャドウワークスのボス、フォビアだ。
フォビア=クラウストロ、、。」
荒くれ者の長には到底思えない、しなやかな名前を耳に感じながらカゲルは尋ねた。
「俺まだ来たばかりで、組織のことも世界のこともさっぱりわからないんです!黒の日⁈
炎使い?一体何なんですか?」
カゲルのため込んでいた不安が吐き出された。
吐瀉物を出した開放感はあったがこれから
更に詰め込まれるであろうメインディッシュに
一抹の恐怖を覚えた。
「詳しい話は、彼女にしてもらおう、、。
エリオアよろしく、、。」
カゲルの左手で長い髪がゆれてトリートメントの臭いとともにエリオアは話した。
「りょーーーーかーーーーーい!!
んじゃ!かんっったんに!これまでの
あらすじをオシエッッテクネイ!!」
カゲルの期待を全てを台無しにするような
調子でエリオアは喋り出した。
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