マスクの裏
ネルシア
マスクの裏
マスクをするようになって3年くらい。
最近私はあることに気がついてしまった。
それはお昼時間の時。
みんなお弁当箱とか取り出して食べる。
でもその時に普段見えない口が顕になる。
みんな何も気にせず口にご飯を運び、食べる。
うーん、エロくない?
だって口だよ?
もし誰かとそういうことする時にだって口を使うわけじゃん?
相手が男でも女でも。
そう考えるとねぇ?
私のお気に入りの子はあの子。
一人称俺でピアス(舌にもある)たくさん、ショートヘア、ムネペッタン、ショートヘアで男勝り。
その子の食べ方がすごく好き。
お箸とか使わず、手掴みで食いつく。
人間がご飯を食べてる、というより獣が肉を貪ってる感じ。
横目で盗み見るしか出来ないけど、その姿にひどく興奮する。
でもあの子と私じゃ土台が違う。
あの子に追いつくことは出来ない。
自分もその子もご飯を食べ終わる。
ご馳走様でした。
2つの意味で。
その子の交友関係はいわゆるガラの悪い人達の集まりで近寄り難い。
でもその中でもその子は気品のある笑い方をする。
家で宿題をしてても頭にあの子の食べる姿がチラついて手が止まる。
食べてる姿を見てる私に気がついて、
「お前を食べてやる」
って言われて抵抗しようにも嫌じゃないから抵抗しないでその子にキスをされ……
そこまで妄想してガンッと机に自分の頭をわざとぶつける。
はぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
これが恋煩いってやつですね。
通学路。
学校最寄りの駅から歩いていると後ろからトンと叩かれる。
振り向くとその子がいた。
私もせは高い方では無いが、その子はもっと低い。
「あんたさぁ。いつも俺の事見てるよね。」
ちょっとその子の息も荒い。
でもそれ以上に見ていたことをバレた羞恥心が凄い。
「え、えっと。」
私が明らかに動揺するのを見るとさらにその子が物理的に顔を近くしてくる。
「あんたが見たいのはこれだろ?」
そう言うとマスクを外し、口をガバッと開く。
舌も動かしており、着いているピアスが陽の光に反射して輝く。
その口に食べられたい。
私を食べて欲しい。
「お、お願い、もうやめて……。」
理性が吹き飛ぶ前に何とか声を絞り出し、その子はマスクをしてくれた。
「俺と付き合ったらこの口好き放題だぜ?」
返事をする前にその子は急に走り出す。
途中振り返り、一瞬意地悪と興奮が混じった笑みを一瞬だけ私に見せてまた学校に駆けていく。
はぁぁぁぁ。
付き合える希望と理性を抑えられるか分からない思いから深いため息が出る。
Fin.
マスクの裏 ネルシア @rurine
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