短編集

貴方と私

かくれんぼ

僕たちの関係は丁度いい。


無駄な干渉はない。

互いを縛り付ける訳ではない。

ただ、一番に最も近い位置にいるだけ。

似たもの同士くっついて、取るに足らない話をして、本心を仄めかす。


周りはとやかく言うけれど、目を瞑って見ないようにする。他人に流されてしまうことは、多分君が嫌いなことだから。


口にするのは怖い事。僕たちのそれを完成させてしまうことは、即ち終わりに向かうことを意味してしまう。だから言わない。一番伝えたいことはタイミングの悪さを言い訳にして隠してしまおう。


昔からかくれんぼは得意なんだ。

想いを押し込んで小さく蹲るのは、昔から。


終わりを告げる町内放送がやけにうるさい。

もうそろそろ帰ろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る