第6話 修羅場

今日も玄関を出るのは遅かった。

—— 一昨日、俺は美咲の気持ちを知った。美咲のことは普通にただの幼馴染としか思っていなかった。でもあんなこと言われたら意識してしまう。

今日は美咲が来ることはなかった。平日ならいつも来るのに、一昨日のことが気まずくなったのだろうか。


ガチャ


「わぁ!!!」

「うわびっくりした!!」

玄関先に隠れていた美咲が驚かしてきた。

「な、何してるの??」

「勇人の驚く顔が見たくなっちゃって」

美咲はえへへと笑った。くそっ、可愛い。

「じゃ行こっか!遅れちゃうし!」

「おう」

俺たちは歩き出して、今日も楽しい1日が始まる。はずだった。

「勇人くんと須藤さん?」

「はい?」

俺は振り向くと背筋が凍った。そこに立っていたのは加奈だった。俺は不幸なことに加奈の連絡先を持っていなかったので、一昨日起こったこと、返事をするのが遅くなりそうなことは加奈に報告できていない。

「あら金城さん。勇人に何か用?これから私と一緒に学校に行くところなんだけど。」

「今日からは私が一緒に登校する予定だったんだけど。勇人くんとあなたは一体どんな関係なの?」

「ただの幼馴染だけど。」

加奈は怪訝そうな目で見ていた。

「本当にそれだけ?」

「あー、ひとつ忘れてた」

美咲はニヤッと笑みを浮かべた。

「私の片思い?かな」

すると加奈は顔を顰めて

「状況は私と同じみたいね。」

美咲の笑みは挑発的な笑みに変化して

「金城さん、私たち勝負しない?どっちが勇人を先に落とせるか。」

「望むところよ!」

勝手にバトルが始まってしまった。

「ちょっと、2人とも仲良くしてね?」

「「もちろん!!」」

大丈夫なのだろうか…。

すると

「ねえ金城さん。」

「ちなみに今のところ私の方がリードしてるからね?」

「須藤さん?それは流石に言い過ぎでは??」

言った側から始まってしまった。

美咲は魅惑な笑みを浮かべて

「私一昨日勇人にハグされたから。ね?勇人??」

「な!?」

「おい!!??」

「勇人くん!本当なの??」

「いや、あれは不可抗力で、、」

「いやゴリゴリ自分からやってたでしょ!?しかもバックで」

「バック!?!?」

「やめろ!!誤解を生むだろうが!!」

違う。それだと違う勇人になってしまうのだ。

すると、

「えい!!」

「えええ!!??」

加奈がいきなり抱きついてきた。しかもバックで。俺は全身ガッチガチである。今まで余裕を装っていたが、無性にも顔は真っ赤になってしまった。

「勇人から離れろおおおお!!!」

美咲が俺と加奈を引き剥がした。うん、もう少しこのままが良かったな。

加奈は悔しそうな顔をして

「須藤さんが勇人くんとしたこと全部経験してやるんだから!」

そう言って美咲を睨みつけた。

大変なことになってしまった。こんな2人の取り合い合戦に巻き込まれてこれからどうなってしまうのだろうか。

そこで俺は気づいてしまった。

「今、時間って、、。」

「「あ」」

この日は3人揃って遅刻だった。





こんにちは!作者のゆるるです。更新遅れました!

結構公園の後からの話を考えるのに行き詰まってしまいました。とにかく難しくて。

2人を合わせるにしても、会うだけだとどうしても尺が足りなくて、クオリティも低くなってしまいますから、ここで何かブッ込まないとと思いまして、坂本勇人ネタ混ぜてみたり、ドキドキシチュエーションを起こしたりで頑張ってみました。

これからの三ひろもよろしくお願いいたします。

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