捨てられた子犬
バブみ道日丿宮組
お題:見憶えのある犬 制限時間:15分
学校から帰ってくると、家の前に犬がいた。正確にはダンボールの中だが。
「……どうしたんだお前」
小さな子犬。
ーー冬景色。
こんな寒い外に放置されれば身体も冷えてく。
持ち上げてみると、思った以上に軽い。
元の飼い主に餌をもらってなかったのかもしれない。
しかしなんというか。
「君あいつの家にいなかった?」
お腹をよーく見てみると、記憶にある通り星マークのほくろがあった。
これは……やっぱりあいつの家にいた子犬に違いない。
子犬を片手で持ち、家の鍵をあけて中に入る。
旅行中に両親がいないので、家の中は外と大差なかった。
そのままリビングに向かい、暖房をつける。
そこでようやく子犬を下ろし、スマホを起動。
メッセージアプリを起動して、あいつの宛先に『子犬捨ててない?』と直球の質問を投げ飛ばした。
するとすぐに既読になり『犬欲しかったんでしょ?』と否定のない言葉がきた。
「いってないんだけどなぁ」
台所に向かうとしたら、子犬が足にじゃれつきはじめた。
「おやつあげるから、ちょっとまっててね」
しゃがみ頭を撫でる。
台所に向かいながら考える。
この子犬をあいつに返すのか、あるいは私が飼うのか。それとも里親を探すのか。
痩せた身体は餌を十分に与えられてないのでそうなってる。家で飼うとしたら、両親を説得する必要がある。里親を探すのはけっこう大変だ。
食パンとお皿に入れた水を持ち、リビングに戻る。
子犬は丸くなってた。
少し暖かくなったから、ちょっと和んでるのかもしれない。
「おやつ食べられる?」
子犬の前に持ってきたものをおろす。
「お」
丸くなるのを解除した子犬は、くんくんと鼻を動かして食べられるのかどうかを考えた。
「誰もとらないよ」
その言葉を理解したのか、食パンをぱくり、水をぺろぺろと舐めた。
とにもかくにも、着替えてこよう。
制服汚れたら、明日学校いけなくなるし。
捨てられた子犬 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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