破天の雷霆

F.ニコラス

序歌

 ある世界。


 ここに栄える現世うつしよに、長年続く4の国。

 地上、地底と天上と、海底に在る人の国。


 そこへ降り立つ預言者の、神々しくも怪しき言。


 誰も知らぬ遠き地に、『箱庭』という国がある。

 神の住みたる聖なる地。

 凡夫が辿り着いたなら、願いがひとつ叶うだろう。


 世の人々は沸き立った。

 全ての国と民たちが、皆一様に魅せられた。


 僅かな遺物を手掛かりに、理想郷へと手を伸ばす。

 巫女の言葉も後を押し、数多の夢が色付いた。


 かくて始まる冒険劇。


 嘘と愛憎、戻らぬ時。

 命無き徒の謀略と、白き使いの涙とが、舞台の裏で混ざり合う。


 渦を巻いては進み行く、天を貫く物語。

 神も知り得ぬその末を、紡ぐは人の生という糸。

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