——再会、そして——
僕の名前は
今年で12歳になる。
毎日おいしいご飯を両親は食べさせてくれるの!
優しくて、自慢の両親なんだ!!
でもね、最近凄い忙しそうにしてるの。
何でか分かる?
そのせいで、僕が話しかけても話してくれなくなっちゃった……。
本当に不思議だよね。寂しいな。
◆◇◆
年月が経ち、林越も14歳と大きくなっていた。
そこである重大な事実を知ることになる。
遂に14歳になったよー!
やっぱりずっと皆僕と話してくれなかった。
どうして?
林越は疑問に思いながら散歩をすることにした。
すると、急に長い黒色のローブを羽織った男が近づいてきた。
そして、林越にこう言い放った。
「何故、お前がここにいるんだ?」
状況が上手く呑み込めていなかった林越は考えたのち、こう返事した。
「え?!居たら何か驚くことなどありましたか?」
「お前はとうの昔に死んでいたはずだぞ。」
男はこう言い放った。
「は!?」
反射的に林越はこう答えていた。
「お前……知りもしないで、現世をさ迷っていたのか。仕方ない。お前、こっち来い。説明してやるから。」
男がこう言ったので、林越は大人しく話を聞いてみることにした。
「先に言っておくが俺は死神だ。よく絵本とかで見るだろう。そう、その死神だ。
あれは大体今から、2・3年前の事だったか。ある男の子が病院に来ていたことがあった。その男の子と言うのがお前だ。きっと、覚えていないだろうがな。その子は、周りから見えないはずの俺に
『お兄さん!何でそんなに長い上着を体に巻き付けてるの?』
と尋ねたんだ。
その時は心底驚いた。だが同時に、気付いてしまった。その子はもうすぐ死ぬと。だから、極力会わないようにはしていたが、遂にその子に死期が訪れると、居ても立っても居られず、その子と会ってしまったんだ。
すると、その子は
『ねぇ、お兄さん。死ぬときって死神さんが来るのかな?お兄さんは死神じゃないけど、なんとなく似てる気がするから、お兄さんみたいな死神さんに死ぬときは殺して欲しいなー!!』
と言ったんだ。
初めは正体がバレたのかと不安になったが、そうではないようだった。そして、その子がそう言ったからにはその願いを叶えてやりたいと思い、殺したのだが……。まぁ、つまりだな、お前は普通なら現世に居ないはずの亡霊だ。分かったか?」
林越は話を聞き終えた後、じっと何かを思い出しているようだった。
「あーーー!!!!あの時のお兄さんだったんね!!お兄さんありがとう!お兄さんが死神で良かった。僕、お兄さんと話すの凄い楽しくて、嬉しかったよ!ありがとう!!」
そして、
「ちなみに、僕の名前は“お前”じゃなくて、“境 林越”だからね!覚えておいてよ!!
名前の通り、どんなに越えられない境目があったとしても、林のように丈夫で図太い根と芯を持って何だって超えちゃうんだから!お兄さんありがとう。会えて良かった。お母さん、お父さん、皆ありがとう。届かない想いかもしれないけど、これだけは言わせて。また会おうね。絶対だよ!お兄さんも絶対に何処かで会おうね!バイバイまたね!!」
と林越は言いながら、空気に溶け込むように消えていった。
男はその様子を見ながら
「ふっ、また会おうとは。この俺と会う時はお前がまたあの世に逝くときだろうな、林越。あの世も楽しめよ。名の通りどんな境でも越えて見せるんだろ。境 林越よ」
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