第33話:乙女心の行く先は13
「鉄ちゃんねぇ?」
「思うところが有るのか?」
「初恋の相手だし」
「母親に寝取られたな」
「それはしょうがないんじゃない?」
「そこが思うところじゃないのか?」
「だって死んだ私が悪いんだし」
「二人によって作られた子どもだ。罪があるなら父親と折半じゃ無いか?」
殺した俺が何を言うんだって話だが。
「――――ないのか?」
つい口から漏れそうになる。飲み込んで胃に溜まった鬱憤を嘆息と吐き出す。
「金也ちゃんは溜め息が癖なの?」
「疲れる連中と友誼を深めている身でな」
「誰それ? 私が代わりに排除してあげる」
自覚が無いのも罪作り。
「フレイヤは兄さんに近づきすぎです」
うがー、と鏡花が威嚇した。こっちもまた俺の腕に抱きついている。超絶ブラコニズム(別名ブラコン至上主義)であるため、
「兄さんに近づく女の子は須く敵であるべし」
をスローガンとし、兄に慕情を持つ。
慕われている事実だけはありがたいとしても。
「金ちゃんはやっぱりおっぱいが……」
朱美は朱美でおっぱい思考の迷路に捕らわれているようだった。
「胸に貴賤は無い」
「本当に?」
「頑張れよ」
「そういうのはどうなの?」
「しかし俺には応援しか出来ないからな」
「揉んで大きくして!」
鏡花に刺されるぞ。
「洗濯板は黙っていてください」
「鏡花だってフレイヤに負けてるじゃん」
「にゃは~。お母さんのおっぱいなら好きにしていいのよ?」
「だーかーらーお前のおっぱいはいらねぇよ」
「金也ちゃんのいけず」
「毎度だが父親に吸って貰え」
「もう吸って貰った」
「ならそれで良しとしろ」
「金也ちゃ~ん……」
「知らん。それから暑い。九月頭に何で三十六度六分に引っ付かれて寝苦しくならにゃならんのだ」
「その熱が愛だよ?」
安いなぁ。
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