第15話:璃音カーネーション05
「金也」
とこれは父親。
「今の話を理解したのか?」
「むしろ理解できなかったのか?」
問わざるを得ない。
「ええと……要するにどうにかしてゴールドーンさんの中にりんちゃんの魂が入ったってことはわかるんだが……」
「五十点」
他に言い様が無い。
「アクセサーってのはそんなことが出来るのか?」
「呼吸をするようにね」
「もしかして璃音も……」
「それはない」
俺の思惑をフレイヤは否定した。
「私は璃音から始まってるからエネルゲイアは璃音でしかないよ?」
「さいか」
俺は疲れた声で納得の言葉を吐いた。
「アクセサーね」
ソウルユビキタスネットワークなんて壮大な物は想像の範疇を超えるも、目の前のフレイヤ改め璃音は否定できようもなく存在する。
「要するにこちらのゴールドーンさんはりんちゃんでいいのか?」
「だな」
――ここまで話して結論がソレかよ。
心中ツッコむ俺だった。
「死ぬと同時に転生したから金也と同じ年齢で生まれ変わった……と」
「そゆことだな」
俺を産んで死んだ瞬間に転生すればそうなるわな。
「だから誕生日も金也ちゃんと同じだよ?」
「どんな得があるんだ。その情報は?」
「これからは盛大に誕生日を祝おうね?」
「いらん」
切って捨てる。後に茶を飲む。
「とりあえずりんちゃんでいいのか?」
「さっきからそう言ってる」
疲労の吐息をつく俺だった。
「りんちゃんはそれを暴露してどうするつもりだ?」
「さぁてねぇ」
素っ気なく茶を飲むフレイヤだった。
「あなた?」
牽制を強いたのは母親。鋭い視線が父親を射貫く。
「いや、そんなつもりでは……」
自身がフレイヤに浮気しない。その表明だ。説得力は微塵も無いがな。
「じゃあ鉄ちゃんは私を見捨てるんだね?」
「りんちゃん……」
「あなた?」
再度牽制する母親。
「大丈夫だ。りんちゃんは墓の下。ソレに変わりは無い」
「ならいいですけど」
一応母親も納得したらしい。
「ふぅ」
と額の汗を拭う父親だった。ちなみにフレイヤはニヤニヤしている。どうやらからかっただけのことらしい。
「しかしりんちゃんがなぁ……」
嫁が女子高生になればそりゃ狐につままれるが率直な感想だろう。
「で、ここからがお願いなんだけど」
フレイヤが述べる。
「金也ちゃんを譲って欲しいの」
「どういう意味だ?」
父親が首を傾げる。
「別に戸籍上の改竄はしなくていいから金也ちゃんをこの屋敷に住まわせて貰いたい」
「はあ」
とわかってない父親。
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