(閑話:最近のおすすめ映画)KAPPEI

 このコーナーは実に無関係に、最近見た面白い映画をおすすめするものです。本日は『KAPPEI』。R5.7.24現在、Amazon Prime Videoで見放題です。

 これは『無限の可能性を感じる』ギャグ漫画です。この映画の面白さは原作由来、というか発想がとても大きいのであえて漫画とかいたけれども、漫画をうまく映画化することは難易度が高い行為で、その点はすごくリスペクト。


 簡単なあらすじ。

 終末戦士として育てられたKAPPEIは師から世紀末はこない、解散と言われて放逐され、東京にたどり着いたら浮いていた。


 やたらDMC感があるなと想っていたら、予想通り若杉公徳原作だった件。再現度が高い。


1.漫画の面白さ

 この漫画の主なターゲット層は、北斗の拳を幼少の頃に読んだ層だ。

 登場人物の年齢が45歳程度設定なので、最大±10歳くらいがレンジの漫画だと思う。北斗の拳ごっこだとか男塾ごっこをやったことのある世代がピンポイントで、そのある意味誰もが持っている黒歴史を今抉るという痛みこそが、この映画の面白さになっている。その存在の恥ずかしさが身につまされる。

 ともあれなぜだか若杉公徳のギャグマンガはスタイリッシュさも兼ね備えた一風独特なもので、間口自体はそれなりに広いのかもしれない。


 そしてこの世紀末ネタは、作中に出てくる通り12年も熟成されていて、おそらく既に使いつくされたネタであるのに、現代とのギャップこそが新たな面白さを作り上げている、ところに創作物というものの無限の可能性を感じるわけ。

 当時はそうだった、というのを客観的に見れて面白い。

 そんなわけで原作は素晴らしそうだと思うけれど、残念ながら未読。そのうち読もう。


2.映画の面白さ

 この映画の何よりの魅力は、見事な構成だ。

 ギャグ映画というのはとても難しい。大抵の映画がどこかでなかだれするのに、それがほとんどない。

 1発1発が純度の高いギャグが大小取り混ぜてとっちらかっているけれど、それにある意味目を奪われて、隠された伏線が綺麗に回収されていく。展開はもちろん原作由来だろうけど、単行本6冊分の長さの漫画をバランスよく再配置するというのは極めて困難な試みです。

 なぜなら特にギャグというジャンルはとても難しく、意図的に受けるために、秒単位で間合いをとらないといけない編集との戦い、だと思う。しかもこの映画、全編隙間なくギャグで埋め尽くされているので、その配分は多分すごく大変。

 色々と安っぽいけれど、黒歴史感を刺激するには安っぽくないと成り立たない、


 最終的な映画の印象は『とても上手いギャグ映画』です。

 特に意図的なわけでもないのですが、この映画の中身はほとんど書かずに感想を書いてみました。それはストーリーを知らなくても面白いからです。原作未読の人は未読のまま、是非『そうくるか』という展開をお楽しみください。

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