第11話 デート2
――2時間後――
やっと映画が終了した。
さっきまで真っ暗だった館内が明るくなる。
横を振り向くと、篠宮と目が合った。
彼女は僕の顔を見て、「ふふ」と可愛らしく笑う。
つられて僕も笑った。
「面白かったね」
「だな」
初めて恋愛映画を観たけど、本当に面白かった。
ちょっとだけ気まずかったけど……。
僕たちは映画館を出て、近くのカフェにやってきた。
カフェの中に入って、店員に指示された席に座る。
「ここのパンケーキ、凄く美味しいんだよ。食べたことある?」
「いや、一度もないけど」
「ならパンケーキ注文しなよ。凄く美味しいから」
「そんなに美味しいのか?」
「うん、最高だよっ。食べてみてっ」
「……じゃあパンケーキ注文するよ。篠宮は何にするんだ?」
「アタシはティラミスにしようかな」
「ん……? パンケーキじゃなくていいのか?」
「今日はティラミス食べたい気分なの」
「なんだよそれ……」
僕は店員を呼んでコーヒー、ティラミス、パンケーキを注文した。
しばらくして、注文したケーキとコーヒーが届いた。
僕が注文したパンケーキの上にはバターとメープルシロップがかかっていた。
シンプルな見た目なのに、空腹感を刺激する。
美味しそうだな。
早く食べたい。
僕はフォークとナイフを使ってパンケーキを一口サイズにカットする。
それをパクッと食べた。
うんっ、美味しいなぁっ。
パクパクとパンケーキを食べている僕を見て、篠宮は「ふふ」と笑う。
「美味しいでしょ?」
「ああ、最高だなっ」
「でしょっ、でしょっ。アタシもここのパンケーキ大好きなんだよね。ねぇ、アタシに一口くれない?」
「え……? 一口?」
「うんっ、一口だけほしいんだけど……ダメかな?」
「ったく、しょうがないなぁ。一口だけだぞ?」
僕はそう言って、パンケーキが載ったお皿を篠宮に差し出す。
「ほら、早く食べろよ」
「えぇぇぇ……あーんしてよっ」
「……」
篠宮の言葉に思考回路がショートする。
あーんしてほしいだと……。
コイツ、何を考えているんだ?
混乱している僕を無視して、篠宮は話を続ける。
「ねぇ早くあーんしてよっ……」
「……」
篠宮の甘いセリフに黙り込む。
黙り込んでいる僕を、篠宮は上目遣いで見つめる。
「ダメかな……?」
「わ、分かったよ。あーんすればいいんだなぁ?」
「うんっ!」
僕の言葉に篠宮はピカピカと目を輝かせる。
嬉しそうだった。
僕はフォークとナイフを使ってパンケーキを一口サイズにカットする。
そのカットしたパンケーキを篠宮に差し出す。
「は、はい、あーん……」
「あ~ん」
篠宮は恥ずかしそうにパンケーキを食べた。
彼女はパンケーキを咀嚼して、満足げな笑顔を浮かべる。
彼女の笑顔が可愛くて、思わず目を逸らしてしまった。
クソっ、マジで可愛いな、コイツ……。
パクパクとパンケーキを食べていると、篠宮が話しかけてきた。
「坂田くんはさ、好きな人いないんだよね……?」
「え? は……? 急になんだよ?」
「いいから答えて」
「……この前言っただろ、好きな人はいないよ」
「そっか……」
僕の返事に篠宮は複雑な表情を浮かべる。
「けど……」
「けど?」
「気になる人はいるよ……」
「え……? 気になる人いるの?」
「ああ……」
「だ、誰! 誰が気になってるの!?」
「それは……内緒だ」
「ええぇぇぇっ……いいじゃん、アタシにだけ教えてよっ~」
「絶対にダメだ」
僕がそう言うと、篠宮はムクーっと頬を膨らませる。
「むぅっ、坂田くんのケチっ」
「……」
お前だよ、お前。
僕はお前が気になってるんだよっ……。
◇◇◇
パンケーキを食べたあと、
僕たちは横に並んでゲームセンターに向かう。
ゲームセンターに向かって歩いていると、
突如、篠宮が腕を組んできた。
ムニュっと豊満な胸が腕に押し付けられる。
「お、おい……何してんだよ?」
「坂田くんと腕組みたくて……やっぱり、嫌かな?」
「別に嫌ではないけど……そのなんだ、(おっぱい)当たってるぞ?」
僕の言葉に篠宮は目を丸くする。
けど、すぐに小悪魔のような笑みを浮かべる。
「ふふ、当ててるんだよ」
「……」
破壊力があるセリフに、理性が希薄する。
きょ、今日の篠宮さんはエッチすぎるぞ……。
ヤバい、なんか変な気分になってきた……。
僕は「すぅ、はぁ……」と深呼吸を入れて、煩悩を振り払う。
「どう、アタシのおっぱいは……? 柔らかい?」
「や、柔らかいです……」
「ふふ、そっか」
「お、お前は……他の男にもこんなことするのか?」
「なっ……そんなわけないでしょっ。こ、こんなことするのは坂田くんだけだよ?」
「っ……」
篠宮の言葉に声にもならない声を上げる。
顔を真っ赤にしている僕を、篠宮は上目遣いで見つめる。
「嬉しい……?」
「あ、あぁ……凄く嬉しいよ」
「えへへ、そっか……」
「……」
僕たちは腕を組みながらゲームセンターに向かう。
しばらくしてゲームセンターに到着した。
早速、僕たちはゲームセンターの中に入る。
それと同時にゲームの音や人の喋り声が耳に伝わる。
相変わらず、賑やかな場所だなぁ……。
「ねぇねぇ坂田くん。プリクラ撮ろうよ」
「えぇぇ……嫌だよ。恥ずかしいって」
「いいじゃん、いいじゃん♪ 一緒に撮ろうっ」
「え? あっ、おいっ!?」
篠宮は僕の手を掴んで、ゲームセンターの中を歩き始める。
そんなに僕とプリクラを撮りたいのか……。
ったく、しょうがないなぁ。
僕たちはプリクラ機の中に入る。
「坂田くん、プリクラは初めて?」
「あぁ、初めてだ……篠宮は?」
「アタシは何回も撮ったことあるよ」
なんて会話を続けながら、液晶パネルを操作する。
突如、プリクラ機のスピーカーから『ポーズを取ってください』と声が聞こえてきた。
「ポーズどうしよっか……」
「篠宮が決めてくれ」
「うーん、じゃあ……」
突如、篠宮がギュッと抱きついてきた。
ムニュっとマシュマロのような柔らかい感触が押し付けられる。
し、篠宮さん、おっぱい当たってますよ……?
気づいてますか?
つか、何してんだよっ、コイツ。
「ほ、ほら、坂田くんもアタシのことギュッとして」
「え? なんで……?」
「いいからギュッとしてっ」
「わ、分かったよ、ギュッとすればいいんだな?」
「うんっ……」
僕は篠宮の背中に手を回して、ギュッと抱き返す。
篠宮の体は小さくて、凄く柔らかい。
女の子の体だった。
プリクラ機のスピーカーから『3、2、1』とカウントダウンが聞こえてきた。
そして、カシャっとシャッター音が鳴る。
撮影が終わったのだ。
しばらくして、プリクラ機の取り出し口から写真が出てきた。
その写真を手に取る。
写真にはギュッと抱き合っている僕と篠宮の姿が写っていた。
写真を見て、僕と篠宮の顔は真っ赤になる。
「あはは……恥ずかしいね」
「だなぁ……」
横を振り向くと、篠宮と目が合う。
今も彼女の顔は真っ赤だった。
「篠宮、顔が真っ赤だぞ」
「坂田くんも真っ赤だよ。ぷくく、可愛いね」
「う、うるせぇよ……」
「ふふっ」
篠宮は楽しそうに笑う。
僕もつられて笑った。
楽しいなぁ。
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