第35話 なんでもないふり

「こんなに幸せでいいのか分からない」

不意に私の口から出た言葉に彼は驚いていた

「幸せな時間って長くは続かないものだからね。」

「いまさ、週2で会えてるのも凄いことだよね笑お互い忙しいのに」

「そうだね笑もう少し頻度をさげた方がいいのだろうけど」

「…さげる?笑会うの辞める?」

そう笑顔で聞くと、向こうも笑顔で、「どうしようかね」と笑ってきた

寒空の下、2人で暖かい紅茶を飲みながら公園のベンチで話したこと、多分暫くは覚えてるんだろうな

こんな日が来るなんて思ってもなかった


互いのことには深く干渉しない関係

だから彼がどんな恋愛を経て私と一緒になってくれたのかも、

私にどんな過去があるのかも知らない。

ただお互いにお互いが居なくなってしまうのを怖がっていて

幸せと比例するように浮かんでくる不安を、なんでもないふりをして見ないようにしながら一緒に春を迎えて花を咲かせる準備をしている


「もう帰らなきゃだね。明日も一限からだし」

「そうだね笑また水曜日に会えるね」

「会いたいと思った時に会うのが1番だと俺は思うよ。だからお互いが会いたい時に無理のない範疇で会おう。

今週も頑張ろうね」

「そうだね笑会いたい時に会うのが一番だね。」


なんでもないふりをして不安に蓋をする

"もうそこから出てこないで"と言い聞かせながら

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