第2話 「また会いましょう」

「好きな人もうできたし引きづってないよ全く」

「どうやって切り替えた?なかなか切り替えられなくて、こんなこと前付き合ってた君に聞くのも変だってわかってるんだけどさ笑」

「分からない、気がついたら切り替えられてたから」

「なんであの子のことを好きになったの?」

「君より魅力的だったから」

「そっか…笑」


終わった。

人はこれを失恋というのだろう。

別れてからも未練タラタラで、失恋ソングを聞いては泣いてを繰り返してたらあっという間に1ヶ月が過ぎていた。

相手にはもう好きな人がいて、インスタのストーリーには私なんかと比べ物にならないくらい女の子らしい彼女が映っていて

私と付き合っていた時は私の写真頑なに載せなかったのにな〜なんて考えて1人くらい部屋で泣いた。


季節はどんどんすぎていく、いつの間にか秋化粧を山々が始めたと思ったらもう彼らの色めきだった時期も終わりに近づいているようだ。

かく言う私の恋も、彼らと同じように色あせて行くのだろう。

早く色あせてくれとすら思う。

いつまでこの気持ちを持ち続けなければいけないのか

片想いの期間がいちばん楽しい、幸せと思う人は一定数いるようだが私にとって片想いは辛く残酷なものでしか無かった。



「ねえ、質問していい?」

「なに?」

「いつかさ、遠距離じゃなくて近距離になる日が来たら、その時にもし君にパートナーがいなかったらもう一度告白させて。それまでに私の気持ちが変わって誰かと付き合ってるかもだし、もう君のこと好きじゃないかもだけど」

「自分勝手なやつだね笑」

「自分でもそう思うよ笑」

「わかった。」

「ありがとう。はぁぁ!すっきりした。」

「じゃあそろそろバイト行ってくるわ」

「うん、行ってらっしゃい。またね。いつかお話できるといいな」

「またね。」


彼がどう思ってるのか、私にはわかった気がした。

距離というちっぽけに見える問題は大きな問題だったようだ。

私もそろそろ、前を向かないと。

冬支度を迎えた山々は、春に煌びやかな自身をアピールするための準備に入る。

私も、まだ見えぬ将来に向けて1歩踏み出せた、そんな気がした。

「またいつか、会おうね」

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