1章
第1話
★ツカサ
僕がソレイユ家に養子となり数年が経過していた。
「ツカサ、時間だぞ。準備は出来てるのか」
この声は、僕の義理の兄となったフレイの声だ。僕の誕生日の記憶も消されていたが幸いにも誕生日などの個人情報は決闘を行う際に調べてあったらしい。フレイは僕よりも早く生まれていたため、兄となったということだ。義理の弟になったのはいいがこれで兄として生活をしないといけなかったらややこしい当主の継承問題に発展することなることが予想されたため弟でよかったと考えている。
「大丈夫、準備できてるよ」
僕たちはこれから学園の入学式に参加する。貴族は15歳になると学校と呼ばれる場所に通わないといけないらしい。兄はそんな場所は面倒くさくて行きたくないと父さんに言ったことがあるが強いやつがいるという言葉に反応して随分と乗り気に学校を楽しみにしている。父さんや執事やメイドたち曰くフレイは戦闘狂と呼ばれる者らしい。戦うのが生きがいの奴のことを言うと言っていた。それを聞いたときは随分とフレイに似合う言葉だと思ったものだ。
そんなことを考えているとフレイを待たせてしまう。鞄を持ってさっさとフレイのいるところに行くとしよう。
「おせ~ぞ」
「ごめん、ごめん。ちょっと考えごとしてたから遅れちゃった」
「二人とも忘れ物はないな。これから王都に言うのだから忘れたと言っても帰れないぞ」
「親父、心配性だな~。俺はそんなことないぜ。ちゃんと確認したからな。心配なのはツカサの方だぜ」
フレイはそんなことを言うが心配なのは僕の方だ。確かに忘れ物はしないかもしれない。僕が忘れなければだけど。準備をしたのは僕だということを忘れているのだろうか。まったく
「父さん。大丈夫だよ。いつものように僕が用意したから」
「ツカサが用意したのか。それなら安心だな。フレイももう少し自分の手でどうにかすることを学んでほしいものだ」
僕の言葉に父さんは安心したのかフレイに対して、声をかけていた。この家に来て数年たつが随分とこの家にはお世話になったものだ。それも今日までだ。これからは学校の寮に暮らし、卒業後は冒険者にでもなって平和に暮らそうと考えている。そのことをフレイに話すと羨ましがっていた。なんでも強いやつと戦えると思っていたらしい。間違いではないが地道な仕事もしなければならないことを知るとすぐに興味をなくしていた。記憶をなくした僕にも目標がある。それをかなえるためには冒険者になるのが近道だと考えている。そのためにもまずは学校を楽しむことを考えよう。
そんなこんなしていると馬車の出発の時間となった。
「旦那様、お時間です」
「うん、そうか。お前たちくれぐれも大きな騒ぎを起こすなよ」
「うん、気を付けるよ」
「相手次第だな」ゴンッ
僕は素直に返事をしたがフレイは生意気なことを言ってる。そのためか父さんに拳骨を食らっていた。そんなことを言うとこうなるのはわかっているはずなのに何でそういうことをいうかな。
「二人とも気を付けていってこい」
「「行ってきます」」
こうして僕とフレイの学校生活が始まろうとしていた。
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