決闘史
@Eto_Shinkuro
第1話
周りは、黄土色一色の景色だった。地名もわからぬ。ただ分かっているのは、ここが夢の中というだけだった。夢の中にいるとわかれば、何でもできるというが、空を飛んでみようと念じたがうまくいかない。こんな場所にいるわけないのだ。この僕が。夢の中とはいえ、よく気付いたものだ。
景色は、ところどころに石でできた家が建っており、やや遠くにコロッセオを想起させる古いドームが見える。これは、街と呼べるのだろうか。おおよそ人が歴史を重ねる中で形成される村にはなっていない。家と、ドームがあるだけだった。
人影もちらほらと見える。後ろから、馬車とそれが引く大き目の木牢、中には何人かの人間が入れられていた。牢の大きさからすれば、少人数の人だった。
馬車を操る人もなく、私の横を通り過ぎていく。通り過ぎ終えたとき、私は、その牢の中にいた。
「惑星の寿命を知っているか?」
知るわけがない。何をきいているのだ。
「1つの惑星が生まれ、消失する間に、どれだけの魂が苦しむか、知っているか?」
「でも、その代わり幸せもあるでしょう。」
「苦しみと幸せ、その総量は均衡がとれていると思うか。」
そんなこと、知ったこっちゃない。「知りません。」
「我々は、今から、それを、見るんだ。」
彼らの表情は、どんな感情かわからない、でもまた虚無でもない、なんとも形容しがたい表情だった。
馬車はドームの中に入る。中の小広場で止まると、皆外に出だした。馬車は難題も止まっている。
このドームは、4方の小広場と、中央の大広場から成り立っているようだった。人の流れに身を任せ、観客席の方へと足を進める。観客席に腰を下ろし、大広場の方に目を向けると、美しかった。
宇宙が、そこにはあった。おおよそ我々が銀河団と呼ぶものが、黒い広がりが、いくつもあった。
「俺ら、夢を見るまで、この中のどこかにいたんだぜ。」
「時間の流れが、違いすぎるんだ。」
「ほら、あの宇宙、そろそろ終わるぜ。」
宇宙は膨張し続けているというが、なるほど、よく見ると淡黒い中により濃い空間があり、それが徐々に広がっている。そしてそれは、もう淡黒いエリアを超えそうだった。
「超えたら、宇宙の終わりさ。」
いよいよ淡黒い空間をいっぱいに満たし、それを超えようとした瞬間、空気を入れすぎた風船のようにはじけ、霧散し、消えてなくなった。
「あれで、どれだけの命が消えたんだろうな。」
他方では、何もなかった領域が徐々に淡黒くなってきている。
「宇宙が、始まる。」
「おおよそ、宇宙が始まって終わるまで、体感でいうと、6時間てところだな。」
「その6時間が、宇宙の中では、何億年、何兆年てわけだ。」
「時間の流れが、違いすぎる。」
「我々からしたら刹那の時間の中で、大量の魂が悩み、苦しみ、生きる意味を探しているんだ。」
「そこに、意味などあるのかな。」
「コツをつかめば、ゆっくり、見ることもできるぜ。」
「ほら、あっちのやつ、まったく動かないだろ。」
「自分の時間の流れを遅くしているのさ。」
決闘史 @Eto_Shinkuro
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