第61話 バトルロワイヤル

 武闘大会までのんびり過ごしていたロッサ達はとうとう大会当日になっていた。朝起きると前日から大会会場の周りで屋台やら飾りやらを準備していたのが完成していてとても華やかになっていた。


「朝から凄く賑やかな雰囲気だ。」


 すると肩に乗っているマロンがロッサに言った。


「海底都市アクアと同じくらい賑わってるなぁ。」


 朝から会場周りは賑わっていて活気があった。物の売り買いががされ、屋台は盛況なようで美味しそうな匂いが漂っていた。ロッサ達は集まると武闘大会の会場に行く前に屋台の食べ物なんかを楽しんでいた。ロッサはその美味しさゆえに食べ過ぎてしまっていた。


「お腹が痛いよぉ。」


「そうねぇ、私はまだまだ食べれるわよ!」


「私もまだまだ行けるぞ!」


「女子チームの腹はどうなってんだぁ?!」


 グローリも食べ過ぎてしまったようでお腹が痛そうだったのだがそんな中もう会場に行く時間になってしまったのだった。


「よ、よし。グローリ!会場へ急ごう!」


「お、おう!」


 そう言うと体を重たそうにして走り出したロッサとグローリは武闘大会の会場に向かった。


「私達は観客席から見てるからねぇ!」


 マナに手を振るとロッサは先を急いだ。


 会場に到着したロッサとグローリはなんだかんだギリギリの到着になってしまっていて受付の人に呆れられていた。


「遅いですよ!危うく失格になるところでしたよ。」


「す、すいません。」


 ロッサ達は登録確認をすると会場控え室に入って行くと見た目が強そうで怖そうな人間や亜人がうじゃうじゃそこには居て物凄い雰囲気だった。


「うげぇ、皆真剣マジだ!」


 するとグローリが隣で蹲っていた。


「どうしようロッサ!俺腹痛い!」


 グローリは今にも漏らしそうになっていたのですぐにトイレに行かせた。


 トイレから帰ってきた二人は控室に戻ると皆がいないことに気がついた。


「あっれぇー?皆がいないぞぉ。」


「どうすんだこれぇ!」


 するとさっきの受付の人がやって来てこう言った。


「またあんた達かい?皆とっくに会場に向かっちまったよ!君達も早く行きなさい!」


 二人とも受付の人に礼を言うと急いで駆け出した。


 会場に出ると皆待機していて、首から下げられている番号を確認していた。丁度ロッサが九十九番でグローリが百番を付けていて確認している番号は九十番台まで確認されていた。またギリギリの処で会場に入ってきたロッサ達は間一髪だった。


「ふぅ、危なかったぁ。」


「俺のトイレに付き合わせちまって悪かったなぁロッサ。」


 ロッサは自分もトイレをすることが出来たので良いと言いグローリを慰めた。そんな事を話しているとロッサとグローリの番号が確認されしばらく待っていると会場からアナウンスされた。


「それではぁぁぁぁぁ!優勝賞金十万Gをかけて争っていただきまぁぁぁぁす!」


 観衆も選手達も湧き上がってきたのか会場全体が揺れるような雄たけびを上げていた。


「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


「気合入ってるなぁ。」


「ただよぉ、この人数で予選するのかよ、時間かからねぇか?」


 グローリがそう呟くとまたアナウンスされた。


「今回!予選はバトルロワイヤルで行って頂きます!百人でバトルロワイヤル、これは楽しみですねぇ!」


 司会によると予選は百人でのバトルロワイヤルで本戦は上位四名でトーナメントをするらしい。


「最後の四人になるまで戦えって事だな!楽しみだぜ!」


 グローリはいつになくワクワクしている様子だった。それもそうである、人並み以上に鍛錬を積んでもロッサに悉く持って行かれるので今回こそは自分が活躍する番だとやる気に満ち溢れていた。


「やる気があるなぁ、グローリは。」


「やるとも!あぁ、やるともさ!」


 すると会場のアナウンスが終わったのかそろそろバトルロワイヤルが始まるところで武舞台の皆の雰囲気が変わった。殺気とも思われるそれぞれの覇気が物凄くて、これは熱い戦いになると思っていた時司会が叫ぶ。


「それではぁ!皆さん準備は良いですか?!それではぁ!バトルロワイヤルぅぅぅ!開始でぇぇぇぇす!」


 それと同時に大きな銅鑼の音が鳴った。


 それを聞くと各々一斉に畳みかけバッタバッタと倒されて行く者もいればなぎ倒して行く者もいる。物凄い速さで武舞台の上から飛ばされていく人達をかわしながら耐えるロッサとグローリ。すると一人の男がロッサに目を付けやってきた。


「弱そうだなぁ!ここで落ちろ!」


 男は襲い掛かってきたがロッサは軽々とそれをかわして男を投げ飛ばし場外に落とした。


「なんてこった・・・。」


 男は予選負落ちなったのだった。


 一方グローリはと言うと、自分から進んで選手達を落としていた。


「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ!次は誰だぁぁぁぁ!」


 それを聞いた数人の選手たちがそれぞれグローリに向かって襲い掛かってきたがグローリもキツイ修行を耐えてきたもので襲ってきた選手達を一人残らず場外へ投げ飛ばしグローリは雄たけびを上げた。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 バトルロワイヤルが始まって数十分経った頃、ほとんどの選手が失格になっており残りの人数が十人ほどになっていた。


「やっと少なくなったなぁ。」


「はぁはぁ、体も軽くなってきたぜぇ。」


 他の八人も強者だろうが流石にロッサ達には敵わなかった。呆気なく六人落としたロッサとグローリを見た残りの二人の選手は唖然としていた。


 予選が終わって少し休憩をはさむということなのでロッサ達は控室に戻って行った。すると受付の人がそこに居てロッサ達に好奇心をむき出しにして聞いてきた。


「おぉ!あんたらか!あんたら強いんだなぁ!良く生き残ってたなぁ!人は見かけによらんなぁ!」


 ロッサ達はそんな受付の人に背中を叩かれると「ありがとう。」と言い受付の人と別れた。


 その後グローリが拳を突き出してきてこう言った。


「良い勝負をしよう!」


 ロッサは拳をグローリと合わせるとこう言い返した。


「本気で相手をするよ!」


 本戦でどう当たるか分からないが武舞台で戦う時は本気でやると約束をする二人であった。


「良い戦いになるかなぁ?」


次回へ続く・・・。

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