第53話 新たなる修行

 元魔王のエルフ、マクティスと戦うことになったロッサ。


「僕の実力でこの人に通用するのかな・・・?」


 風魔法で剣を作り出したマクティスは「行きますよ。」と言いロッサに向かってきた。素早い攻撃がロッサを襲う。


「くっ!」


 ギリギリだがマクティスの攻撃を受け止めるロッサ。


「やりますねぇ。ではこれでどうでしょう。」


 するとマクティス魔法の剣から風魔法の竜巻を繰り出してきた。


「うおっ!」


 間一髪のところでその魔法を避けたロッサは雷魔法で応戦する。


「サンダーストレート!」


 ロッサの剣の先から雷が一直線に高速で放たれマクティスに当たった。


「やった。当たった!」


 マクティスは怯む様子もなくそこに立っていた。そんな様子にロッサは驚いていた。


「え、ええぇぇぇぇぇ!効いてない・・・。」


 マクティスはそんなロッサの攻撃を褒めていた。


「いい攻撃でした。だがまだまだですね。」


 するとマクティスは一瞬でロッサの目の前に移動して剣をロッサの喉元に突きつけ勝負ありだと言った。ロッサはあっさり負けてしまったのだった。


 あの一年間の修行は何だったのか、これでは残りの魔王も倒せないし守るべきものを守れないと落胆していたロッサ。そんなロッサにマクティスはこう言った。


「その強さ魔王に匹敵しますがまだまだですね。」


「これでも魔王ロックハートと魔王ノーティカは倒したんだけどなぁ。」


 マクティスはロッサに諭すように言った。


「その魔王達はまだ若いし弱いですよ。魔王ゾール辺りからが本当の魔王の強さですよ。」


 ロッサは改めて魔王ゾールが最初に戦ってきた時にどれだけ手加減をしていのか思い知らされた。ロッサはもっと強くなれるのかマクティスに聞いてみた。


「僕はまだまだ強くなることができるのでしょうか。」


「そうですね。もう知ってはいるでしょうが、あなたは魔王の素質がありますね?いつになるか分からないですがあなたは魔王に覚醒できるはず、そうすれば強くなることもできます。しかも人間の魔王なんて久しぶりですからね。楽しみですよ。」


 ロッサはマクティスが言った事で人間の魔王が居たことに少し驚いていた。


「人間の魔王って居たんですか?」


「えぇ、数千年前に一人いたんですがね忽然と姿を消したらしいんですよ。」


 マクティスの話によると人間の魔王が居たのは数千年前であらゆる敵を薙ぎ払っては魔王ディアと渡り合っていたらしい。


「人間の魔王ってそこまで強くなれるんだ・・・。」


「人間は未知数ですからね。可能性としてはありえるのですよ。あなたも先代の人間の魔王より強くなることが出来るかもしれないですよ。」


 するとロッサはマクティスに修行をしてくれないかと頼んでみた。するとマクティスは了承すると共に条件を提示してきた。


「いいでしょう。ではその代わりにこの大森林を開拓してあなたの町にして下さることを約束していただけますかな?」


 ロッサは少し戸惑いつつもやむを得ずその条件を了承した。


「それでは明日から修行をしましょうか。」


「お願いします!」


「あのぉ、ちょっといいですか?」


 ドリアードが話の区切りが良い所で割って入ってきた。


「町を作るのは良いですが人手が足りませんし、まず町を広げる知識がありませんよ?」


 そう心配するドリアードにロッサはこう言った。


「それなら大丈夫です。心当たりがありますから。」


「それなら安心ですね。心置きなく修行をすることができますね。」


 するとドリアードは釘を刺すように言ってきた。


「森を破壊しすぎないでくださいね!」


 マクティスは「そんなことしないですよ。」と言いながら不敵な笑みを浮かべて笑っていた。その笑顔にロッサは嫌な予感がしたが何事も無かったように知らんぷりをした。


 一方。遠くで見ていたマナ・グローリ・アリッサ・マロン・ロウガはロッサが負けたことに対して驚きを隠せずにいた。


「負けちゃったのよね?」


「この世にはまだまだ強い奴がいるんだなぁ。」


「我が種族の元魔王か、恐ろしい強さだ。」


「主ぃぃぃ!」


「久しぶりに喋ったねロウガ。」


 そんな話をしているとロッサがこちらへ向かってきた。ロッサはここで町を作りながら修行をすることになったことを皆に言うと皆は理解してくれてマクティスに自分達も鍛えてくれるようにお願いをしてみたら快く了承してくれた。


「さぁ!また強くなるぜぇ!」


「ナンバー2は私のモノよ!」


「元魔王に修行をつけてくれるとはとても心強い!」


 そんなこんなでまたまた修行をすることになったロッサ達は村を発展させながら修行していくのだった。


「町づくりも修行もちゃんとやるんだぞぉ。」


次回へ続く・・・。

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