第42話 魚人の島跡

 空間転移でスイレンの町まで転移したロッサは早速リヴァイアサンを探しに海を飛び回った。魔法探知でリヴァイアサンを探し出そうとするとスイレンの町から数キロ先の沖に身を潜めていた。


「リヴァイアサーーーン!」


 リヴァイアサンはロッサの問いかけに応えるかのように水面まで顔を出して言った。


「なんだ?久しいな。ロッサと言ったか、何の用だ?」


「いやぁ、実はね。」


 ロっサは強くなるために魔王と戦っていることを伝え魔王ノーティカの元へ行きたいとリヴァイアサンに言ってみた。するとリヴァイアサンはロッサにこう答えた。


「魔王ノーティカか。私はあやつの事が好かんが場所なら知っておる。」


 そう言うとロッサはリヴァイアサンに魔王ノーティカがいる場所へと連れて行ってくれないかと頼んでみた。リヴァイアサンは快く連れて行ってくれると言ってくれたがリヴァイアサンが一つロッサに質問してきた。


「連れて行くのは良いがしかし海の底だぞ?潜った時に息が続かんだろ。どうする?」


 それを聞くとロッサはこう答えた。


「風魔法で空気を作るから大丈夫。あと気圧も調整できるから潰れる心配もないよ!」


 そう言うとロッサは早速三人と二匹を連れて戻ると言い残すと空間転移でマナ達の元へ戻って行った。


 戻ってきたロッサにマナが情報はつかめたのか聞いていた。


「あ!帰ってきたわね。どうだったの?」


「魔王ノーティカの居場所を知ってたよ!僕達を連れて行ってくれるって!さぁ、行こうか!」


 ロッサは皆の手を取ると空間転移をしてリヴァイアサンの元へ飛んで行った。


 リヴァイアサンの元へ戻ると早速体の上に乗っけてもらって海の中央地点まで行くと言い進んで行った。ロッサは海の中央はどのくらいで辿り着けるのかリヴァイアサンに聞いてみた。


「海の中央にはどれくらいかかるの?」 


 リヴァイアサンは普通に答える。


「なぁに。ざっと一週間くらいだ。」


 ロッサにどれくらいかかるか聞いた三人は声を合わせて叫んだ。


「えー!」


 リヴァイアサンのペースで進んでいくと一週間かかると言うのだ。距離にして一万キロを超えるぐらいの場所にあるらしい。


 するとマナが空を見上げながら呟いた。


「これはまた長旅ね。」


 そう言うマナの隣でグローリが青ざめていた。その様子に気付いたアリッサがグローリを気に掛ける。


「グローリどうした?」


 するとグローリは口を押えながら言っていた。


「つ、強くなっても俺の三半規管は強くなってくれねぇみたいだ。うぇっぷ・・・。」


 グローリがリヴァイアサンの上で吐きそうになっている所皆が「こらえて!」とグローリの吐き気を抑えていた。


 リヴァイアサンが半日進んでくれた頃ちょうどリヴァイアサンも疲れが出てきていた所で島が一つ進んでいた先に見えてきたので休憩がてらにその島に立ち寄ってみることにしたロッサ達。


「私はここで休んでいるから少し遊んで来い。」


「分かったよ。リヴァイアサンは休んでて。」


 ロッサとリヴァイアサンの会話を聞いていたアリッサはリヴァイアサンがなんて言っていたのかロッサに確認をしていた。


「リヴァイアサンはなんと言っていたのだ?」


「この島で遊んで来いだって!」


 遊んで来いと言われたもののこの島に何があるのか分からないロッサ達は探索することにした。


 島は半径十キロくらいの広さで森が生い茂る綺麗に島だった。


 ロッサ達は森に入っていくと色々探索していた。すると突然集落があったような跡地に辿り着いた。


「なんだろう。この跡は。」


よく見てみるとそれはここに住んでいたであろう魚人族だと思われるものだった。見るからに人間の体に魚の尻尾や尾ひれがついた子供が描いたであろう絵が壁のそこら中に描かれていた。そんな集落跡を見たロッサ達が憶測で会話をしていた。


「どうしてここにはもう魚人族がいないんだ?」


「さぁ?なんか魔王に関係あるんじゃねぇか?」


「滅ぼした、訳じゃないよな。」


「どうかしらね。」


 一通り探索をした後ロッサ達はリヴァイアサンの元へ戻った。するとリヴァイアサンは聞いてきた。


「島の中はどうだった?」


 ロッサは魚人族と思われる集落の跡地があったことを告げた。するとリヴァイアサンは言った。


「そうか、やはり無くなってたか。」


「どういうこと?」


 リヴァイアサンはここにかつて怪我をした自分を治療してくれた心優しい魚人族たちが海から陸に上がって暮らしていたのだがその時から魔王ノーティカに海に戻れと警告されていたらしいと告げた。ロッサは最悪の結果を思ってしまってリヴァイアサンに聞いた。


「殺されてないよね?」


「分からぬ。ただその様な事で同種族を殺すような真似はしないと思うがな。予想としては罪人として捕まっているか、だな。」


 ロッサはそれを聞くと思ったことが一つある。


「うーん。助けてあげたいなぁ。」


 とりあえず日も落ちてきたのでその島にあった果物や自分達が持って来た食料で野営をした。


 食事を済ませた後リヴァイアサンがロッサに言った。


「明日はもう少し進めると思うのでな。」


 ロッサは感謝を告げると今晩は眠りに着いた。


「魔王ノーティカはちょっと頑固者っぽいかもなぁ。」


次回へ続く・・・。

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