第43話 海底都市アクア

 翌朝からまた海の中心まで進みだしていたリヴァイアサン達は途中にある島で休憩しながらちょうど一週間で海の中心地点まで辿り着いてしまったのだった。


「はぁはぁはぁ。ここだ。」


 リヴァイアサンはここ最近とても早く泳いでいたので体力の消耗が凄くてばてていた。そんな事はさておきロッサが言った。


「ここにあるんだね?海底都市が。」


 すると後ろの方でグローリがもがいていた。


「とりあえず早く降りたい。」


 グローリの三半規管は限界だったのだ。そんなグローリを見てマナとアリッサが心配を口にする。


「これから魔王の所に行くっていうのにこんなんで大丈夫かしら。」


「不安だ。」


 ロッサは風魔法で空気の膜を張るとリヴァイアサンは海の中へと潜って行った。


「どのくらい潜るの?」


「なぁに。数千メートルだ。すぐ着く。」


 海の中に入ると色とりどりの魚達が泳いでいてとても綺麗だった。とても綺麗な海を見た女性陣はワクワクしながら言った。


「こんなに海が綺麗に見れたのは初めてだわ!」


「お、おおぉぉぉ!」


 アリッサは初めて見る海の中の景色に目を輝かせていた。


 リヴァイアサンが海に潜り始めてから数十分後。辺りは暗くなり太陽の光が届いているのか分からないほど暗黒の世界が広がっていた。すると遠い所に小さな光が輝いているのを確認できた時リヴァイアサンが言った。


「見えてきたぞ!」


 徐々に光は大きくなっていくとそこには広大な海底都市があり、その広さにロッサ達は驚いていた。


「これは・・・とんでもなく広いな。」


「王都の数十倍はあるぜぇ!」


 するとリヴァイアサンは海底都市に入っていく。海底都市の周りはドーム状になっておりその中に空気の膜があるような場所だったのでロッサ達が窒息するような場所ではなかった。海底都市に降り立つと魚の頭を被っているような魚人や基本ベースが人間の体でヒレや尻尾が付いている魚人がそこには居た。これまた魚人を見ると女性陣が興奮しながら言っていた。


「こ、これが魚人族ね!」


「すごいぞ!」


 アリッサのワクワク感が増している。


 海底都市にはサンゴや宝石の様な石がたくさん飾られていたり落ちていたりしていてとても綺麗な場所だった。


 すると目の前に立っていた兵士がこちらに向かって来ると、とても歓迎ムードと言う感じではなかった。


「お前達人間がこの海底都市アクアに何の用だ!」


 ロッサはその圧力に少しうろたえながら言った。


「き、君達の魔王様に用があって・・・。」


 兵士はそれを聞くと武器を構えてこう言った。


「魔王様を狙っているという人間はお前達か!皆ぁ!こいつらを取り押さえるぞ!」


 そう言うと奥から兵士達が沢山出てきた。


「ちょ、ちょっといきなりなんなの?」


 マナが慌てているのと同時にロッサは魔法通信で仲間たちに伝えた。魔法通信とは言うまでもなく魔力を用いた通信で口にしなくても意思疎通ができるロッサのオリジナル魔法である。


「(ここは一旦捕まって様子を見よう!魔王ノーティカの所まで行くのにその方が簡単そうだ。)」


 ロッサ達は予め海中を進んでいるとき装備類は収納魔法で収納していて丸腰なのである。そんな状態の中ロッサは手を上げてこう言った。


「降伏する!荒事はごめんだ!優しく頼む!」


「素直だな。こいつらを連れてけ!」


 ロッサ達は縄で縛られるとそのまま牢屋へ連れてかれた。牢屋は地味に広く四人と二匹が十分に入れる牢屋だった。ロッサの提案で牢屋に入れられたロッサ達だったがマナが文句を言っていた。


「はぁ。なんでこんな汚い所に入らなきゃいけないわけぇ?」


 そんなマナに改めて説明をするロッサ。


「多分この方が楽に魔王ノーティカに会えると思ったからさ。」


 そんな風に言うロッサにアリッサが疑問を投げかける。


「そんな簡単に会えるのか?」


 グローリが間に入ってこう言った。


「まぁ。気長に待ってようぜ!」


 数時間経つと兵士がやって来て魔王様の所へ連れて行くというのだ。ロッサ達は言われるがままに魔王ノーティカの元へ連れて行かれた。


魔王の元へ連れてこられたロッサ達の目の前に魔王ノーティカだと思われる魚人がそこには居た。白くて長い髭が特徴的で大きな槍を持っているお爺さんの様な見た目だったがオーラは凄まじかった。すると魔王と思われる男がロッサ達に高い椅子から話しかけてきた。


「さて、貴様らはわしに用があるといっていたようじゃな。」


 ロッサは素直に答える。


「はい。率直に申し上げますと、僕達と戦って欲しくて。」


 その言葉を聞いた途端傍に居た兵士が口をはさむ。


「無礼者め!やはり魔王様の命が目的か!」


 口を挟んできた兵士に驚きつつ答えるロッサ。


「そ、そんなんじゃないですって!ただ戦って欲しいだけです。」


「ふむ。わしと戦いとな。」


 魔王ノーティカは暫く考え込んだ後ロッサ達にこう言った。


「いいだろう。」


「それじゃあ!」


 ロッサが言いかけると続けて魔王ノーティカは条件を出してきた。


「だがしかし!こちらで近日開催する闘技大会に参加してもらう。そこで優勝すれば私と戦うことを許そう!」


 すると自信満々にマナが言う。


「優勝なんて楽勝よ!」


それを聞いた魔王ノーティカはほくそ笑んでこう言った。


「そう簡単に行くかな人間よ。我を楽しませてみよ!」


 魔王ノーティカによると闘技大会の開催日時は一週間後。中央都市にあるコロシアムで闘技大会を行うと言う。その大会には一人ずつ参加できるらしくロッサ達の誰かが優勝すれば良いとの事だった。そんな条件にグローリが呟いた。


「俺達優勢じゃねぇか?」


「四人もいるからね。でも油断しちゃあいけないよ。魔王ノーティカは頑固らしいからね。何があるかわかったもんじゃないよ。」


 ロッサ達は城を出た後宿屋に向かったが人間だからという理由で宿屋を追い出されてしまった。ロッサ達は思わぬ弊害に困ってしまった。


「ど、どうしよう。」


「これ魔王の仕業じゃないでしょうねぇ!」


「とりあえず野宿出来る場所を探そうぜ!」


 そう言うと空間理解で海底都市のマップを確認してみた所ロッサは遠くに空き地がある事を知ったのでそこに行ってみた。


 するとそこだけ何もない完全な空き地だった。ロッサは宿屋に泊まる事を諦めこう言った。


「仕方がない。ここで数日間過ごそうか。」


「はぁ、人間だからとかめんどくさいわねこの国は。」


 愚痴をこぼすマナを慰めその空き地で闘技大会が開催されるまで待機するロッサ達であった。


「なんか不穏な感じがするなぁ。」


次回へ続く・・・。

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