第35話 訪れた魔王の町

 魔王ゾールとの交戦後一晩明けさらに平野を進んでいたロッサ達。魔王ゾールは自分が三番目に強い魔人の魔王と言っていたのが気になり他の魔王の種族は違うのだろうか考えていたのだった。


「魔人の魔王かぁ。他はどんな魔王なんだろう。気になるな。」


 するとマナがそう言ったロッサに対してこう言った。


「ヴァンパイアの魔王もいたりしてね。」


「いそうだなぁ。」


 そんな話をしながらさらに三日経った頃。全体的に黒い雰囲気の町にやって来たロッサ達。町の名前はグリエル。奥の方を見てみると物凄くデカい城が建っていて言うなれば魔王城のような城だった。


 「ま、まさかこの町って魔人の町で魔王ゾールの城って事は無いよね・・・。」


 ロッサはそう言うと早速町の中へ入ってみると案の定角の生えた魔人達が至る所に暮らしていた。人間のロッサやグローリ。ヴァンパイアのマナ。エルフのアリッサを見ても何の反応も無かったのだ。


 冒険者ギルドもこのグリエルにありその中には人間の冒険者も何人かそこには居て魔人の冒険者と仲良く話をしている姿が見られなんとも穏やかな雰囲気だった。


 ロッサ達は長旅で疲れたため魔人の宿屋へ行ってみると中には魔人の宿屋の女将がいてロッサ達にこう言った。


「おっ!異種族パーティかい?珍しいね!」


 女将に言われると人間がこの宿屋に来ることが慣れている様子だった。


 ロッサは魔人が人間を見ても何とも無い事に違和感を抱き女将に聞いてみた。


「ここの人達は人間に敵対とかってしていないんですか?」


 女将はロッサの質問にちゃんと答えてくれた。


「敵対?そんなことはしないさ、私達はただの魔人という種族であって人間とただ種族が違うってことぐらいだろう?ましてやうちの魔王様が人間の事を好きだからねぇ。敵対なんかしないと思うよ。」


 女将の言葉を聞くとロッサは心の中で思った。


「(へぇー。あの魔王がこんなに良い評判だとは思わなかったなぁ)」


 その後宿屋で食事をしたロッサ達であった。魔人が出す料理は何だろうと思うロッサ達であったが人間が出す料理と何ら変わらなかった。逆に人間が出す料理よりも美味しかったかもしれないと思うのであった。


 食事でお腹いっぱいになったロッサ達は疲れを癒すためにすぐさまベッドに飛び込んだ。ふかふかのベッドに癒されながら秒で眠りに落ちたロッサ達であった。


 翌朝。ロッサは起きるともう定番になったかのようにロッサのベッドに潜り込んでいるマナに慣れたのかマナを起こすとマナも起こされる事に慣れたのか眠い目を擦りながら「おはよう。」と言いロッサと共に部屋を出た。


 朝飯を済ませると女将に魔王様が呼んでいるから魔王城に来いと呼ばれていることを知らせてくれた。ここグリエルにいることは魔王ゾールには筒抜けだったらしくロッサ達は渋々魔王城に足を運ぶのだった。


 魔王城に着いた時門番にロッサ達が来ることを知らされていたらしくこう言われた。


「ようこそ。ロッサ様御一行ですね。魔王様がお呼びです。こちらへどうぞ。」


 城の兵士にそう言われると城の中へ入り王の間に案内された。すると奥の方で魔王ゾールが玉座に座っていた。ロッサは魔王ゾールと目が合うとこう言われた。


「よぉ!また会ったな!」


 肩を落としながらロッサは言った。


「また会っちゃったよ・・・。」


 数週間前に戦った相手がまた目の前にいることを不安がるロッサだった。それを見破るかのようにほくそ笑む魔王ゾールだった。


「魔王ゾールってばまた何か企んでそうだなぁ。」


次回へ続く・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る