第28話 リヴァイサン襲来?

 スイレンの町でクエストをこなしながら過ごしたロッサ達。


「だいぶ貯まってきたぞぉ!」


 かなりの依頼を受けてきたのでお金は貯まっていた。かなりにお金には困らなくなって来た所でそろそろ旅に出ようと思っていたのだがここ最近嵐が続き船が出航出来ないという。原因は何かと周りの人達に聞いてみてもさっぱり分からず立ち往生していたら一人の老人がみんなの前に出てきて叫んだ。


「リヴァイアサンが怒っておるのじゃ!リヴァイアサンが来るぞ!この町から逃げるんじゃあ!」


 そう叫んだ老人に対して町の皆は嘲笑うかのように話を聞こうともしないで去って行った。すると老人が呟く。


「ちっ・・・。言う事を聞かぬ馬鹿共が!」


「リヴァイアサンか・・・。」


 ロッサは気になりかなりの範囲を魔法探知で探ってみると非常に遠くの方でとてつもない巨大な反応があったのをロッサは確認した。


「これは本当にリヴァイアサンが来るかもしれないぞ!」


 ロッサの言葉を聞くとマナが少し不安がりながら聞いてきた。


「あのおじいちゃんが言ってた事は本当ってこと?」


 グローリは町の皆の事を心配しながら言う。


「だとしたらここら辺は水没しちまうだろ!何とかしねぇと!」


「ふむ・・・。」


 アリッサは一人何か考えていると独り言を言っていた。


「ロッサがリヴァイアサンと言う奴の元へ行ければな・・・。ロッサは話をできるのになぁ。」


 するとロッサは手を叩き言った。


「その手があった!」


 そう言うと風魔法を使い空を飛んで見せたロッサ。


「ちょっと!いつの間に空を飛べるようになったの?」


「ふふっ。密かに開発してたんだよ。」


 ドヤ顔をしたロッサは皆を一先ず残し一人リヴァイアサンの元へ飛んで行ったのだった。


 飛ぶこと数十分。リヴァイアサンらしき巨大な影がスイレンの町の方向へ泳いでいた。


「こりゃあ早く何とかしないとすぐ着いちゃうぞ!」


 早速リヴァイアサンに語り掛けてみるロッサ。


「おーーーい!リヴァイアサン!どうしたのーーー?」


 するとリヴァイアサンは止まりロッサの呼び掛けに答えたのだ。


「人間が私と喋られるとはな。ふむ、面白い!」


 そう言うとリヴァイアサンはロッサと話し始めた。ロッサは何故スイレンの町に向かっているか聞いてみた。


「スイレンの町に何か用があるの?そのままの勢いで行っちゃうと町で洪水で水没しちゃうよ!」


「うぐ・・・。じ、実はな言いにくいのだが・・・。」


 するとリヴァイアサンは何故か恥ずかしそうにモジモジしだしてこう言った。


「ちょ、ちょっと歯が痛くてな。人間に見て貰おうかと思ったのだ。」


「へっ?」


 ロッサはリヴァイアサンの発した言葉の意味が分からない訳ではないが理解するまで時間がかかった。頭の整理がついたロッサはリヴァイアサンに聞いた。


「に、人間に歯を見て貰おうと暴れながら町に進んで行ったと・・・。」


「う、うむ。」


 ロッサはリヴァイアサンに少し説教をした。そもそも暴れたら天候にまで影響が出ることや町への被害。困っている人達諸々の事をリヴァイアサンに言った。するとリヴァイアサンは反省しだしてロッサに言った。


「すまなかった。暴れるのはもうやめよう。だがしかし痛いのだ!見てくれないか?」


「しょうがないなぁ・・・。口の中に入るから口開けて!」


 大きく口を開けたリヴァイアサンにどこが痛いか聞くと右の奥歯だと言う。それを聞いたロッサは右奥歯の方へ行くと案の定虫歯になっていた。


「あーあ。こりゃあ虫歯だね。」


「この私が虫歯だと!」


 リヴァイアサンはまさか自分が虫歯になっているなんて思っても見なかったのだろう。リヴァイアサンは少しがっかりしていた。するとロッサはリヴァイアサンに問いかける。


「どうする?取っちゃう?痛いと思うけど・・・。」


 リヴァイアサンからの返答は早かった。


「頼む!取ってくれ!痛いのは嫌だが仕方がない我慢しよう!」


 ロッサは虫歯の元へ着地すると思い切り根元から飛び出るように会心の正拳突きを放った。そうすると虫歯になっていた歯は空の彼方へ飛んで行った。痛みが取れたリヴァイアサンはそれはもうご機嫌だった。


「はっはっはっ!やっと痛みが無くなったぞ!抜けた所の違和感が凄いが助かったぞ人間!」


「はぁ・・・。」


 ロッサはため息を漏らしながら帰ろうとするとリヴァイアサンに止められどうせならスイレンの町まで乗せて行ってくれるというリヴァイアサン。それではとリヴァイアサンに乗ってスイレンの町まで帰って行ったロッサ。


 スイレンの町に待機しているマナ達は遠くの方に大きい物体が近づいてきている事に気付いた。


「あれ?あの大きいのリヴァイアサンじゃないの?」


 アリッサの物凄い視力でも確認する事が出来た。


「本当だ!リヴァイアサンだ!だが天気は良好だぞ?」


 リヴァイアサンが近づいてくるとグローリは頭の上に乗っているロッサに気が付いた。


「あーーー!あいつリヴァイアサンに乗ってるぞ!」


 リヴァイアサンに乗ったロッサは無事スイレンの町に戻ってきたのである。ロッサは皆に事情を説明すると町の人々に感謝されるのであった。


「こりゃあ、困った伝説の生き物がいたものだな・・・。」


 町の人は心の中でそう思うのであった。リヴァイアサンは何かを感じ取ったのかそそくさと帰ってしまった。


「逃げたな。」


 ロッサは一人呟く。


 これでスイレンの町の危機?は去ったのだった。


「しょうもない理由で良かったなぁ。」


次回へ続く・・・。

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