第27話 港町スイレン
新しいエルフの狙撃手アリッサを仲間に加えまた旅に出たロッサ達は海辺に沿って進んでいた。海辺に沿って進んで行けば町が見えてくるはずだとロッサは言うとそれに従う皆であった。海辺を走っている馬車の手綱を握りながらロッサは言った。
「海風は気持ちいいなぁ。」
「こう気持ちいいと寝ちまうなぁ。」
「うーん。むにゃむにゃ・・・。」
マナはもう寝ていたのである。
眠っているマナとは裏腹にアリッサは目を輝かせながら初めて見る間近にある海にテンションが上がっていた。そんなアリッサにロッサは言った。
「無人島に居た時はあんなに冷静だったのに今になってテンションが上がって来たのかぁ。
するとアリッサは言った。
「自我を保とうとしていたのだが無理だった・・・。初めて間近で見る海ぃーー!やばい!楽しいぃ!」
アリッサのクールのキャラとは真逆な可愛い一面を見ることが出来たロッサだった。
海辺を進むこと一日経過した所に港町らしき場所が見えてきた。マナがいち早く気付くとアリッサに向けて言った。
「あれじゃない?港町。」
アリッサは身を乗り出し前方の港町を確認する。
「どれどれ?うわぁ!初めての町が目の前に!」
またテンションが上がるアリッサ。アリッサの見つめる町の名前はスイレンと言う。漁業が盛んで渡航する人も多く大陸と大陸を行き来する大事な場所らしい。他大陸の商品もここで流通されるという。
ロッサ達はスイレンに着くとお腹が減っていたので一目散に食事が出来る場所を探した。するとアリッサがすぐさま見つけてきた。
「あのお店が良いと思うぞ!さっきからいい匂いがしてくるぅ!」
ロッサ達はアリッサに連れられそのお店に入っていった。そこのお店では昼に飯屋を営み夜に酒場を営んでいるというお店だった。夕方ぐらいに訪れたロッサ達は酒が飲めないかと聞いてみた所酒を出せるという事なので料理と酒を楽しんだ。途中そのお店の女将がマナに何か言っていた。
「そこの小さなお嬢ちゃんにはジュースでも持ってくるかね!」
マナにそう言うとマナが少し怒り気味にこう言った。
「これでも私はとっくに成人してるわよ!」
そう言うと隣に居るロッサの酒を一気に飲みほした。女将はそれを見ると「あら。ごめんなさいねぇ。」と謝り更に酒を持ってきてくれた。この店で出される料理はどれも美味しく港町なのでメニューも海鮮系が多かった。ロッサ達が頼んだのは魚の刺身や煮付けや塩焼き。酒に合う料理にロッサは感激していた。
「これはまた酒に合うなぁ。美味い!」
すると目の前で初めての魚料理にがっついて食べているアリッサにロッサは疑問を持ったので聞いてみた。
「エルフって質素なものしか食べないじゃないの?肉とか魚とか大丈夫なの?」
アリッサは口に料理を含みながら答えた。
「あの集落では質素な物しか無かったからそれしか食べられなかったわけで私は好き嫌いなく何でも食べれるぞ!多分な!」
「そっか!じゃあこれからはいっぱい食べなきゃね!」
食事を済ませると宿屋に向かい二人部屋を二部屋借りて即座に眠りに着いた。
次の日。朝から騒がしいなと眠い目をこすりながら朝早く起きたロッサ達は何事かと町に繰り出して行った。毎日この時間になると朝市が始まるというではないか。朝から屋台やら競りやらがやっていてロッサ達の腹は朝から鳴りっぱなしだったのである。ロッサ達は誘惑に負け朝からたらふく食べてしまった。するとロッサは財布の中身を確認しようと取り出すと思った。
「最近お金を沢山使ってる気がする・・・。」
財布の中身を確認したロッサはだいぶ減ってはいたがまだまだ余裕がある程度にはお金があった。だが使いすぎは良くないと思うとロッサは静かに節約と依頼をこなさなくてはと思うのだった。ロッサは早速皆に言った。
「よし!今日はクエストをしまくろう!」
するとマナがやる気を見せながら言った。
「久しぶりのクエストね!やる気出てきたわ!」
「初めてのクエスト!って私はまだ冒険者登録していないぞ・・・。」
そんなアリッサの言葉を聞くとアリッサ以外の皆が声を合わせて言った。
「あっ!」
すぐさま冒険者ギルドでアリッサの登録を終わらせるとクエストに出発するロッサ達。今回行うクエストとは近くの海岸に出るというシーマンの捕獲。捕獲した数によって報酬が変わる歩合制で捕まえれば捕まえる程報酬金が上がっていく仕組みになっている。
ロッサ達はシーマンが出没するという海岸へ来たところシーマンがうじゃうじゃ居た。
ロッサ達は「うっひょおおおお!」と叫びながら物凄い勢いで捕り始めた。
「おりゃおりゃおりゃおりゃ!」
「こいつらを素手で掴むわけぇ?」
「こりゃ狩りというより漁だなぁ!」
「は、初めてのクエスト!」
アリッサもロッサに続き物凄い勢いでシーマンを捕獲していった。網何個分だろうか本当に大量のシーマンを捕獲したロッサ達はギルドに納めに行くと大量の報酬金を貰って一日が終わった。
「今回は平和だったなぁ。」
次回へ続く・・・。
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