第17話 それぞれの修行

 修行を行う為ドワーフの国ドルガリンから更に北の地にあるという鬼の里へ向かう事になったロッサ達。馬車で進むこと二日目。中々里へは着かずにいた。


「まだ着かないんかぁ?」


 そう言うグローリの隣であまりの遠さにマナが怒っていた。


「更に北っていってもどれくらい北なのよ!距離を言いなさいよ距離を!てか聞きなさいよ!」


 ロッサがマナを落ち着かせる。


「まぁまぁ。旅なんだからいいじゃないか。」


 マナを落ち着かせるロッサだったが確かに鬼の里への道は遠かったのだ。すると馬車を引いてくれている馬がポロッと呟く。


「つ、疲れたなぁ。」


 馬が疲れを見せていたのでロッサは皆に「少し休もうか。」と提案し、少し休むことにした。


「いつもありがとうねぇ。」


 そう馬達に言うロッサ。すると馬達が言ってきた。


「俺らがいなきゃ楽に進めないもんなぁ!どうってことないぜ!」


 ロッサは改めて馬達に感謝するとロッサは馬達を撫でた。馬達は嬉しそうに顔をすり寄せてきた。少し休むとロッサは馬達に「またよろしくね。」と伝え先へ進みだした。


 進みだして二日目。マロンが何かに気付きロッサに伝えた。


「なんか遠くの方に見えない?」


 そう言うマロンの言う通りに先を確認してみると確かにそこには森があった。


「また森か・・・」


 獣人がいた森で罠に引っかかったことがあるグローリは森に対して嫌悪感を抱いていたのである。森には里へと続いているであろう道が整備されており馬車でも進んで行けるような道だった。馬車でも進んで行けるような道だが道自体はデコボコしておりマナが文句を言っていた。


「もぅ!お尻が割れちゃうじゃないの!」


「尻はもう割れてんだろ!」


 グローリにツッコまれたマナはぷんすか怒りながら馬車の隅っこに座ってしまった。


 数分馬車を走らせていると、里の入り口の様な場所に着いた。辺りは静けさがただよいまるで人の姿が無く非常に不気味な雰囲気だったであった。ロッサ達は馬車から降りて里の中へ進みだすとクナイの様な物が飛んできたがすかさずロッサ達はそれをかわした。すると鬼の様な角を生やし人間の体に近い骨格をしていて体は肌色の言うなれば鬼人と言うべき種族の鬼達が出てきた言った。


「強き者達よ。この里に何用か!まさか里を襲いに来たんじゃなかろうな!」


 ロッサはすかさずガジル王に貰った木の板を見せるとガジル王の認めた冒険者だと理解してくれた様で快く里の中へ入れてくれた。ロッサは村の中に白鬼(はっき)と言う剣術の達人がいないか問うと里の奥に竹林がありその中を進むと一軒家がありそこで静かに暮らしているという。その話を聞くと早速里の奥へ向かったロッサ達。竹林の中へと進むと古びているが立派な木造の一軒家が見えてきて入り口の前に立ったロッサは呼びかけてみた。


「誰かぁ!いませんかぁ?」


「んん?何用じゃ?」


 家の中から声が聞こえると扉が開いた。すると黒い和服に身を包み右目に剣で斬られている跡があり左目だけで見ている初老の鬼が出てきてロッサは聞いた。


「あなたが白鬼(はっき)さんですか?」


 片目の鬼は答えた。


「いかにも。私が白鬼じゃがお主オーラを隠しているな。わしにはわかるぞいお主の凄まじいオーラがな。」


 それを聞いたグローリがロッサの後ろでマナと会話していた。


「すげぇなこの爺さん。ロッサのオーラが分かるんだってよ!」


 マナが続けて言う。


「ただものじゃないわね・・・。」


 白鬼は何をしに来たのか聞いてきたのでガジル王と戦い素人レベルの剣術だと言われたので修行をすると良いと言われこの里にやって来たことを告げた。すると白鬼は笑いながら言った。


「はっはっは!ガジル王が負けたのか!相当強いんじゃな。修行か・・・いいじゃろう。修行をしてあげよう。その前に私と一度戦ってみんかのぅ?」


 ロッサはすぐさま返答した。


「分かりました!戦いましょう!」


 お互いに剣を抜く。白鬼が抜いた剣は日本刀の様な細い剣で懐かしさを感じる物であった。白鬼が言う。


「行くぞい!」


 お互いに息を整える。辺りは静まり返り異様な緊張感が漂う。互いに間合いを取り一撃で勝負が決まる。一瞬の内に白鬼がロッサの首に剣を突き付ける。物凄い速さであったがロッサよりかは明らかに遅い。それなのに独特の間合いとセンスでロッサに勝ったのだ。


「ま、負けました・・・。」


 初めてロッサの負ける姿を見たマナ・グローリ・マロン・ロウガは驚いていた。物凄い緊張感とオーラを放つ白鬼にも驚いたが何より殺気が凄まじかったのである。白鬼はロッサに一言言った。


「強さはそっちの方が上ではあるが、剣術という点においてはわしの方が上であったな。」


 するとロッサは何かを決心したのか白鬼に言った。


「決めた!師匠と呼ばせて下さい!」


 多少ロッサが強引な言い回しであったが白鬼は快く了承してくれた。


「ほっほっほ。いいじゃろうて。久々に鍛えがいのある若者が現れたのぅ。私の全てをお主に叩き込むでな!覚悟しておれ!」


 ロッサは無事白鬼に弟子入りできたのである。すると、白鬼はグローリを指さし言った。


「そうじゃ。そこのデカいの!お主も鍛えるからのぅ。見た所まだまだ伸びしろがありそうじゃからのぅ。」


「俺かぁ?強くなれるのなら俺もやるぜ!」


 二人揃って弟子入りしたロッサ達は次の日から修行を開始しようと話していた。


 マナはと言うと白鬼に紹介された老婆の元へ行った。その老婆は魔法に長けているという事なのでマナもその老婆に弟子入りした。


 これからロッサ達の修行が始まる。どのくらい強くなるのだろうか。


「とことん鍛えて貰いなぁ。」


次回へ続く・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る