第18話 剣術と魔法

 ロッサ達が白鬼(はっき)と修行を開始したその日最初に行ったのは白鬼の分身百体連続居合斬りだった。白鬼が自分の間六で作り出した分身体と百体連続で勝たなければいけないと言う超絶難易度の高い修行だった。それを聞いたロッサは驚愕した。


「な、なんだってぇぇ!」


「百体ってマジかよ!勝てるのか?」


 グローリが心配そうに言っていたが白鬼がグローリに言った。


「お主は五十体でいいぞいグローリよ。」


 ちなみに一度負けたら最初からになるのである。白鬼は自分の魔力で分身体を作ると早速ロッサと手合わせさせた。すると間合いを詰め息を整える。ロッサは白鬼の分身体を斬ることができた。分身体に勝つ事が出来たロッサは自信が出てきていた。


「こ、これは行ける!」


 さすがに白鬼の分身体では本体より劣るのであろう。良い調子で居合斬りをこなすロッサだったが三十体目を超えると集中力が欠けてきたのだろう。呆気なく隙を突かれて分身体に斬られてしまった。


「うわっ!」


 分身体の攻撃は魔力で作られたものなので多少ロッサにもダメージが入った。白鬼は集中力が切れたロッサに一言言う。


「はっはっは!集中力が切れたようじゃな。それじゃあ百体は無理じゃろう。」


 そう言う白鬼にグローリはロッサにフォローを入れる。


「でもよぉ!ロッサは三十体近く倒したんだぜ!自身もって良いんじゃねぇの?」


 ロッサはグローリにフォローされるがまだ気合は入っていた。


「だめだよ!これじゃあまだまだだ!」


 二人はそんな修行していた。


 マナはと言うと、黒鬼の老婆に修行をつけて貰っていた。その老婆はクロ婆と呼ばれていた。マナはクロ婆に自分は何をするのか聞いてみた。


「クロ婆様!私は一体何をするの?」


 するとクロ婆は答える。


「そうじゃなぁ。まずは魔力の最大値を上げようかのぉ。」


 それを聞くとマナはそんな事が出来るのかと疑問視していたがクロ婆によると魔力値の高い者は魔力を高めながら制御すると上限が少しずつ上がると言うのだ。


「へ、へぇ。そうなんだぁ。」


 百十八歳のマナでも知らないことがあるのだった。説明を終えるとクロ婆が気合を込めて言ってきた。


「それじゃあ早速始めるぞい!魔力を込めよ!」


「は、はい!」


 マナは力いっぱいに魔力を込める。その込めた魔力を制御しつつ魔力を上げようとするイメージをしながら保つ。そうすると少しだが魔力が上がったような気がしたマナだった。数値で言うと現在最高値で二千だとするとマナの魔力はたった今二千一ぐらいに上がり少しずつだがそうやって魔力を上げていくようだ。マナは少し上がった自分の魔力を感じながら言った。


「こ、これは!めちゃくちゃ疲れるわね!」


「これも鍛錬じゃ。頑張れい!」


 マナの修行も中々ハードであった。


 三か月後。ロッサは着実に修行をこなして行っていた。


「五十体目ぇぇ!」


 とうとう目標の半分の数を倒しきったロッサ。するとグローリが言った。


「おぉ!とうとう五十体行ったかぁ!俺は十体が限界だぁ!」


 グローリもあれだけ強い白鬼の分身体を相手にして十体倒せるのはすごい事である。白鬼が五十一体目分身体を作りながらロッサに言う。


「三か月で五十体かぁ。中々いいペースじゃのう。しかしここから五十体続くかのぅ?」


 分身体を作り終えた白鬼は早速ロッサと戦わせた。


「ぐはぁ!」


 五十一体目で隙を見せてしまったロッサはやられてしまった。また最初からである。ロッサは悔しさのあまり叫んだ。


「やってしまったぁぁぁぁぁぁ!」


 白鬼はため息をついて言った。


「まだまだじゃのう。」


 やられてしまったロッサを見てグローリも気合を入れる。


「俺も頑張らねぇとな!じいちゃん次は俺だ!ロッサは少し休んでろな!」


 そう言うグローリは一体目で負けてしまった。


「グローリよ。頑張るのは良いが集中力が欠けるのは良くないぞ!しっかりせい!」


「おうよ!」


 二人の修行を遠くから見守るマロンとロウガは大変そうだなと眺めていた。


 三か月経ったマナはと言うと。


「はぁはぁはぁ。最近全然上がらなくなってきた気がするんだけどおばあちゃん!」


 マナの魔力値は三か月前二千前後だったのが三千近くまで上がっていて最近は何故か全くと言って良い程上がらなくなってきているという。そう言うマナに対してクロ婆は魔法を放つように言った。


「頃合いじゃな。ほれ、久々に魔法をぶっぱなしてみよ!息抜きになるじゃろう!」


 そう言われるマナは久しぶりに魔法を放ってみた。


「ホーリーシャワー!!」


 すると以前のホーリーシャワーより遥かに威力の高い魔法を撃てた感覚が心地よいマナは深い息が漏れた。間髪入れずにクロ婆がマナに言い放った。


「もっとじゃ!魔力が無くなるまでぶっ放すんじゃ!」


「は、はい!」


 急に言われたマナは気合を入れ直し魔法を放ち続けた。ありったけの魔力で色々な魔法を放ち続けたマナは疲れ果てて倒れこんでしまった。


「も、もう無理・・・」


 クロ婆はすかさずマナに魔力を込めるよう指示した。


「今じゃ!魔力を制御させるんじゃ!」


 マナは使い切ったわずかな魔力で再び制御し始めた。


「くぅぅぅぅ」


 苦しそうなマナは頑張って魔力を制御し続けた。そうすると少しだがまた魔力値が上がった気がした。それを感じたクロ婆は言った。


「ふむ。上がったか。これでまた魔力を制御しても上がらないことは無いぞい!」


「ほ、本当?おばあちゃん!」


 頷くクロ婆にマナは「よし!」と意気込み修行を再開させるのであった。


 それぞれ修行を開始して充実した日々を送る。一体この修業はいつまで続くのか。ロッサ達がどこまで強くなれるのか見ものである。


「僕等は退屈だなぁロウガぁ。」


 マロンはそう言う一方でロウガが何かしようと考えていた。


「主が頑張っているのだ!私らも何かせねば!」


 ロウガは何をしようとしているのか。


「はてさて一体なんだろうね」


次回へ続く・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る