2月
Column1 「ことば」の話
出だしに何を書こうかなと思ったのですが、折角なのでタイトルのことを書こうと思います。
当作品『ことば』では、日本語やら英語やら、色んな言語の話も書くつもりでいたので、最初から前作の『NIHONGO』というタイトル名を引き継がないことにしていました。
どんなタイトルが良いかなぁ、と考え始めたのはいいのですが、これが中々決まらなくて……。
『言葉の海』とか『言葉の森』なんていうのはありきたりですし、『言葉を◯◯』とか『言葉は◯◯』とかすると、「これから書こうとしているあれが当てはまらなくなるなぁ」となってしまいました。「言葉」から離れたタイトルにしようとも考えたのですが、やはり「言葉」が入っていた方が、読者の方の目に留まりやすいのではないかと思い断念。
結局、暫く考えてもいいものが思いつかず、うんうん悩んだ末、単純明快、シンプルな『ことば』という名前になりました。私には、タイトルを考えるセンスがないのかもしれません(笑)
でも、まあ、日本語で言語を語るなら「ことば」というのは、良いのではないかなとは思っています。
「ことば」は、大和言葉です。
大和言葉とは「日本固有のことば」のこと。「和語」ともいいますね。
「ことば」は「コト」と「ハ」の複合語です。「コト」とは「言」のこと。「ハ」には「単語」とか「言語」という意味があります。そのため、元々は「ハ」だけで「言語」ということを指し示していたそうです。
ではなぜ「コトバ」になったかというと、「コト」には「言」と「事」の二つの意味があったので、「言」だと分かるよう、「ハ」をつけて「コトバ」もしくは「コトノハ」と呼ぶようになりました。
日本語は同音異義語が多いですが、この頃から区別に苦労していたのかもしれませんね。
さりげなく「コトノハ」と書きましたが、聞いたこともある方もいらっしゃることでしょう。これも「言葉」のことです。
しかし、昔は「コトノハ」と「コトバ」には区別がありました。
「コトノハ」は善美な表現として認識され、「コトバ」は平俗的な言葉であるとされていたのです。そのため「コトノハ」は、和歌を指す言葉として使われることもあったとのこと。
しかし、中世になると「コトノハ」と「コトバ」の区別が
ついでに申しますと、タイトルを『ことば』とひらがなにしたのは、大和言葉が由来だからです。
『NIHONGO』シリーズのどこかでも書いたかと思うのですが、井上ひさし氏の著書のなかに、「司馬遼太郎さんが『思う』という言葉を『おもう』と書いている」ということが書いてありました。理由を読んでみると、「『思う』はやまとことばだから、漢字で書くのはおかしい」(←そのため、大和言葉も「やまとことば」と平仮名で記載)とあったのです。
その辺りのことは、人それぞれの感覚でしょうから自由で宜しいと思いますが、今回は司馬氏の考え方を
大和言葉の『ことば』から始まる言葉の世界。是非、楽しんでいってください。
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