姫がめんどくさいので城から逃げ出したら悪魔と出会ったので契約を結びスローライフを目指します。

にゃんこ3世

逃げて契約して

第1話 めんどくさぁぁぁぁぁぁい!

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!」

また姫の悲鳴が上がった。

鳥たちはバタバタと、飛び立ち、木がゴトゴトとなった。

風が吹き、ゴブリンやオークなどの魔物が動き出した。


タッタッタッ


「お待ち下さい姫様!」

姫を追いかけるのはメイド、『ソット・クライ』上品な人でいつもは穏やかだがたまに性格が変わったりする、少し不思議な人である。


「ばーか、捕まらないよー!」

メイドに悪口をはくのは『レミア・ライツ」この城の姫であり、そして、城主でもある。


絶対に捕まりたくない...こんな最悪な場所で一生を迎えるなんてごめんだわ!

ただ毎日街のモンスター被害だの、ゴブリンの進行だの少しは休憩がほしい〜!

だだっ広いだけの城なんて面白くもなんともなーい!

ただ心のなかで思うことしかできない。

姫なのに変える権利もないとでも言うのだろうか。


もう少しで城門だわ!


もう少し!


後ちょっと!


後、1歩!


行ける!


この言葉で少しずつ油断していった。


「あっ!」

後少しのところでまたしても失敗した。


「くっそぉぉぉぉぉぉぉ!」

後ちょっとなのにぃぃぃぃぃぃ!


夜...


城門ががっしり閉じられて”中からしか開かない”様になっていた。

今がチャンスである。

いつもなら城門より外に出ることは固く禁じられているが、今日に限って見張りがいないことがわかった。

なかなか幸運であり、これはいけると確信していた。

バッグに着替え、タオルにハンカチサングラスや財布までぎっしりと詰められた。

当然、部下は追ってくるだろうただそれも覚悟の上、旅に出る。

そして、誰もいない楽なスローライフを目指す!

姫はつばを飲みそっと部屋を出た。


「見張り...誰かやってるだろうけど...一体誰が...」

これでメイドだったとしても流石に今の時間、寝ているだろう。


「お!」

静かな声で姫は喜んだ。

誰も見張りをやっていない。


「しめた!ラッキーだぞこれ!」

満面の笑みで城門を開けた。

やはり誰もいない、ラッキーガールだ。

忘れ物はない、心の準備も旅の準備も両方バッチシだ。

姫は城から少し離れると思わず飛び跳ねてしまった。


「さぁ、冒険開始だ!」

まずは食料!と言いたいところだが食堂からこっそり持ってきた。

まずは近くの街に行く!

もちろん自分の街ではなく、西にある街、『ベーツの街』を目指す。

ところで、


西ってどっち?


・ ・ ・


方位磁針持って来るんだったー!

行こっかな..いやでも...

しかしそんな中、姫のスリル魂が燃え始めた。


「行くぞー!」

猛ダッシュで姫は城に駆けつけた。


30分後...


「なんとか間に合った...」

スリル満点だったので姫も冷や汗をかいている。

こえぇー!


「さて、次はどこに...」

ふと安心したその時、


「姫様ー!」

部下が一斉に駆けつけた。


「セ〇ムが知らせてくださったんですー!」

セ〇ムめぇぇぇぇぇ!

(セ〇ムさんすいません。)


* *


「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

姫は全力で逃げた。

幸いにも人数は少なく、ざっと40人程度だろう。


『力がほしいか?』

はぁ?

なにこれ、意思伝達!?


『私は悪魔、お前に魔法を与える。その代償として私に毎日食料を提供しろ。』

う〜んわかった!私に魔法をください!


キュィィン


{おめでとうございます!あなたは魔法が使えるようになりました!}

アナウンス?まぁいいや。とりま転移魔法を使うか!


『転移』


ヴッ


魔法陣が現れ、姫の体を包み込んだ。


シュッ


「よ、レミア!」

気安く喋りかけてきたのはついさっき契約した悪魔『ブラック』である。


「あーさっきの。」


「俺の名は『ブラック』!漆黒の魔王とでも呼ぶが良い!」

そーゆーのいいから、めんどくさいなー


「さぁ、食料を渡せ!」

はいはい、渡すかー


「ちなみに場所ランダムにしてよかったの?」


「へ?」

だって、ここが西の町じゃ...


「何にも考えずに転移使うとランダムな場所に来るよ。」

は?

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