第16話 ハンターギルドの依頼


ハンターギルドの裏庭の広場、その一番奥の草むらにある新居の軽パコで一晩を明かしたワタシたち3人は、朝からハンターギルドに来ています。


その目的はズバリ、依頼を受けるためです。


「うわぁ~、人がいっぱいですね~」


(裏庭だからすぐなのに、朝一で来てもう、人でごった返してますね~)


朝、それなりに早い時間帯に来たつもりでしたが、既にラッシュの様相です。



おにぃ「依頼は掲示板に張り出されてるらしいぜ」


ねぇね「怖くてそこまで行けないかも・・・」


ワタシたち3人の中で、唯一ちゃんと文字が読めるねぇね。


そのねぇねが掲示板に近寄れなければ、依頼の内容を知ることができません。


怖がるねぇねを落ち着かせるため、一旦人ごみを避けてホールの隅っこへと移動するワタシたち。


そこでちょっとしたブリーフィング開始です。


「依頼って、そもそも、どういうのがあるの?」


おにぃ「ハンターギルドは採取が主だろ?」

おにぃ「植物とかを採ってくる系とか、魔物とか動物とかを捕ってくる系だと思うぜ」


ねぇね「魔物は怖いよ~」


「そうですよね~。魔物とかは遠慮したいですね~」


おにぃ「それじゃあ、薬草とかの採取か?」


ねぇね「それなら私でもできるかも・・・」


「でも、ふたりとも、どれが薬草とか、知ってるの?」


おにぃ「オレ、詳しくは知らないぞ?」


ねぇね「私もあまり詳しくないかも・・・」


(うわぁ~、出だしからつまづいてしまった感じですね~)

(ワタシたちには、ハンターギルドでの仕事は無理なのでしょうかね~)


とりあえず、もう少し情報が欲しいワタシは、話を続けます。


「あの、そもそもなんだけどね? 依頼って、誰が出してるの?」


おにぃ「それはアレだろ? 町のお店とかだろ?」


ねぇね「病院とか、薬屋とか、教会が依頼を出すこともあるって、聞いたことがあるかも」


おにぃ「あとは、お偉いさんだろ? お役人とか、お貴族様とか」


ねぇね「それは私たちには関係ないヤツでしょ?」


おにぃ「まあな」


(う~ん、とりあえず、ワタシたちに関係しそうなのは、町のお店かな?)

(町のお店からの依頼となると、食べ物系の採取依頼かな?)

(そういうのって、競争率高そうだな~)

(町のお店の依頼で、ワタシたちしかできない依頼があればイイんだけど・・・)

(ん? それなら逆に、ワタシたちしか達成できない依頼を、町のお店から出してもらえばいいんじゃない?)


そうひらめいたワタシは、ねぇねとおにぃに提案してみます。


「ねぇね、おにぃ、昨日の優しいお店、ジョシュアさんとジェーンさんのお店に行きましょう」


おにぃ「また甘い蜜を売りに行くのか?」


「いいえ、依頼を依頼しに行くんです」


おにぃ「は? 依頼を依頼?」


ねぇね「なんだか訳がわからないよ」


「ワタシたちにしか達成できない依頼を、あのお店からハンターギルドに依頼してもらうんですよ!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る