第3話 みんなでご飯


「おかえり~」

「ねぇね、おにぃ、これ、見て見て~」

「食べ物だよ~」


ねぇね「え? 食べ物? この不思議な袋が?」


「この袋の中身だよ~」

「お米っていうんだ~」


おにぃ「へー、それでこれ、どうしたんだ?」


「えへへぇ~、ワタシのスキルで出したんだ~」


おにぃ「スキル?」


「そうなの。ワタシ、スキル覚えたんだ~」


ねぇね「スキルで出したの? 凄いわね、おチビちゃん」

ねぇね「それで、これはどうやって食べるの?」


「えっとね、お鍋にお水と一緒に入れて、お水がなくなるまで煮るの!」

「そうするとね、ふんわり甘いご飯になるんだ~」


ねぇね「それじゃあ、さっそく煮てみましょうか」

ねぇね「お鍋とお水が必要なのね?」


「そうで~す!」


おにぃ「それじゃあ、オレは火を用意しとくよ」



そんな感じではじまった、異世界クッキングinスラム街。


ボロボロのお鍋に無洗米を入れ、そこにねぇねが魔法でお水を注いでいきます。


(ねぇねは水魔法が使えるんだね~)

(おにぃは火魔法かな?)


計量カップなんてありませんので、水加減は目見当。

キャンプの飯盒炊飯的な感じです。

あとはいつも使っている竈っぽくなっているたき火の上にのせて、炊き上がるのを待つだけです。


(始めちょろちょろ中ぱっぱー♪)


しばらくすると、お米の炊ける幸せの匂いが広がってきました。


「う~ん、いい匂い~」


ねぇね「もう食べられる?」


「もうちょっと待ってね~」



そんなやり取りの後、ついに炊き上がったコシヒカリちゃん。

お米はちょっと柔らかく、なべ底は焦げ付いてしまいましたが、本当の意味で欠食児の3人にとって、そんな些細なことは全く気になりません。

各々のボロボロのお皿に盛り付けて、早速実食です。


「ん~ん。甘~い。美味し~」


ねぇね「はじめて食べるけど、甘くて美味しい~」


おにぃ「うん。美味い!」


ねぇねとおにぃがとってきた野草をおかずに、久しぶりにお腹いっぱいになった3人なのでした。



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