【第一部】第二十章 魔素操作と魔法

「ねぇ、その<魔素操作>って、普通の魔法とどう違うの? 魔法も魔素を制御してるじゃない」


 昼休み。昼飯をエリス、カール、稲姫と食べ終わった後、エリスからの質問だ。


「俺も気になってた」


 カールがエリスに続く。


「そうだな……」


 どう説明したものか悩みながらも二アレンは人に語り始めた。



「<魔法>は、固有のパターンをあらかじめ設定して、そのパターンに沿って魔素を制御するイメージかな。アレンジはできるけど、ベースは同じで、敷いてあるレールの上に魔素を乗っけて送るみたいな感じ」


 ふむふむと二人がうなずく。二人が飲み込めるように少し間を置き――


「それに対して<魔素操作>は、魔素に直接アクセスして操作するんだ。魔法のパターンみたいなものは無いけど、自由自在に組み立てることができる。魔素で構成済みのものに干渉して分解したりもできるぞ。魔法とかな。でも自由度が高い分、難易度が高いんだ」

「すごいじゃない。すごく応用が利きそう」


 目を見開きながらエリスが言う。稲姫が狐の姿でだけど、ちょっと自慢気に胸をはっている。とても可愛らしい。


「私にもできないかしら?」

「もともとは妖狐の種族特性に近いものらしいし、普通の人間には難しそうだな。俺は“御使いの一族”の権能である<神託法>で、稲姫と同様に使えるみたいだけど」

「アレンばっかりずるい」


 エリスが頬を膨らませ不満を言ってくる。そう言われてもな……。


「まぁ、でも、俺の時みたいに魔法を使う時の助けにもなるみたいだし、ありがたいじゃん」


 カールが言う。岩人形の創造訓練でこの力を使用してフォローしたのを感謝してくれてるみたいだ。


「そうね。私にも頼むわね」

「ああ。この力をどうやって活かしていけるか、一緒に考えていこう」

 

 話はいったんそこで落ち着くが、ふと思い出したことがある。


「そう言えば、さっきの実技訓練で<ウィンドカッター>を<魔素操作>して使ったら、デバイスの練度表示がちょっと変わっててさ」

「どんな?」


「『ウィンドカッター改 練度S』ってなってたわ。なんだろうな。“改”って……」

「聞いたことが無いわね」

「魔法をアレンジしまくった時とかにつくんじゃないか?」

「確かにな。カールの言う通りかもしれん。アレンジっちゃアレンジだしな」

「いつか自分だけの魔法とか造ってみたいわ」



――稲姫やこの力に出会えて本当によかった。自分たちの可能性を広げられる様、有効活用していこう。

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