【第一部】幕間――失われた記憶――
――それは失われた記憶
持っていたはずの記憶――
◇
優しい人達に囲まれていた。
「―――、
「きっと―――は神様に愛されてるのよ!」
「この子は
◇
燃え盛る炎。劣勢ながらも抗戦する仲間達。響き渡る怒号。無遠慮な
◇
「な、何だこいつは――」
「ば、化け物……」
少年と接敵した敵兵は漏れなく
――蒼い炎を纏う拳に触れた者は忽ち燃え尽き
――蹴りをくらったものは、その異常な脚力で骨ごとへし折られ
――距離を取る者は、少年の意思の下周囲を縦横無尽に飛び交う水刃に斬り刻まれた。
◇
「やぁ、君は面白いね。僕とどっちが強いかな?」
奇怪な仮面をつけマントを羽織る者が悠々と歩み寄ってくる。仮面で隠され表情は確認できないが、声音からは紛れも無く“喜悦”が読み取れた。
◇
そこは白く四角い建物だった。
“S―03”と書かれた札を胸元につけられた。
白衣の中年男性が言う。
「いいかい? 今日から君はここで暮らすことになる。ルールには従ってもらうよ?」
“S―02”の札をつけた
「あたしは――――、よろしくね!」
◇
「博士、S―03はもう駄目です。力を吸い出しすぎたせいか、まともな力も残っていません」
「ん~? ああ、
◇
「あなた、このままだと処分されちゃうわ。
あたしと一緒に逃げましょう!
大丈夫、―――はあたしが絶対に守ってあげる!」
◆
「お、目が覚めたか
……お前、自分の名前も覚えてないのか?」
おじさん――ルーカスは親切だった。生きていくために必要なことを色々と教えてくれた。そして、自分に“名前”もくれた。
「そうだな……これも何かの縁だろう。俺が名付けてやる。――
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