第30話 ポンコツ聖女?

馬車2台に分かれて出発するが、広場から離れたところで2台を止めるように言って

馬車から降りる。


「馬車で帰るのは時間の無駄だからな」


そう言って、結界で2台を囲んで転移魔法で王都のギルドの裏の訓練場に転移する。当然誰も居ないのは確認済みだ

気付いたのは御者くらいだろう、訓練場が突然現れて固まっている。

俺は馬車の外から声をかける、


「着いたから降りて来い」


ソフィアが馬車の窓から顔を出して、


「何言ってる?バカなこと言ってないで早くしゅっぱ・・・つ・・・・」


「ソフィアさんどうされたので・・・・・すか・・・」


そう言った後、セイラが馬車から飛び出してきた。


「うそっ。ここってもしかして」


おいおい、いつもの丁寧な言葉遣いはどうした。


「ギルドの裏だけど」


2台の馬車から皆降りてきて固まる。

こいつら固まるの好きだなと思っていると


「「なんて非常識な・・・」」


セイラとソフィアの声が重なる。


「お前ら何言ってるんだ、これが俺の常識なんだよ」


「リア、さっきあの人、自分で自分は常識はずれって言ってたよね、でも非常識なことをやってのけて、常識だって言ってるけど、これってどういう事?」


「・・・普通の人には理解出来ない事をやってのけるから私達って助かったんだろうね、って言うかごめん、頭が理解を拒否してるからわからない、多分この人の正体がアレだからじゃないかな」


「なるほどね、理解したよ、リアがわからない事を私達がわかるわけ無いわ、きっとアレだからだね」


アレって何なんだよ、リアと優子はマジでお仕置き確定だな・・・


「いつまで驚いているんだ、ソフィア、さっさと案内しろ」


「はっ、はい」


ソフィアに連れられてギルドの会議室に入る。


「セイラ、お前が仕切れ」


「はい、わかりって、なんで私が上から目線で指示されないといけないんですか、私って王女ですよね、聖女ですよね」


「違うのか」


「違いません、王女です、聖女です」


「ならいいじゃないか、良かったな」


「どうして私が上から目線で指示されないといけないのかって言ってるんです」


「諦めろ、ポンコツ聖女」


「ポンコツって・・・きぃぃぃぃぃっ・・・はぁはぁ、後でゆっくりお話しましょう」


「2人でベッドの中でか」


「なななっ、何をおっしゃっているんですか」


慌ててるポンコツ聖女もかわいいなっと思っていると、ジト目で俺を睨むリアがいた。

えっ、さっきも思ったけど俺ってただのファンだよね。ただのファンでも推しメン以外に目を向けたら睨まれるのか。DDの奴って大変だな、まあ俺も2推し3推しっているけど。

と言うか、なんでソフィアと優子まで睨んでくるんだ、特に優子、お前とはさっき出会ったばかりだよね。そう言えばソフィアも今日会ったばかりか。


「冗談だから気にするな。じゃあ、先にすすめてくれるか」


「・・・・わかりました・・・まず聞きたいことがあります。貴方は一体何者なのですか」


「俺は普通の人間だぞ」


「「えっっ」」


リアと優子は俺の正体を知ってたな、だからってここでその反応はダメだろ。


「リアと優子は何かご存知なのですか?」


「「えっと・・・」」


「それを聞いてどうするんだ」


「だっておかしいじゃないですか、勇者様達が25階層まで攻略してくれましたけど、

今まで20階層までしか攻略出来てなかったんですよ、それをいきなり最下層まで攻略して。しかも数時間でですよ。アサト様、貴方絶対に只者ではないでしょう」


「「「アサトっ」」」


リアと優子を除く勇者3人が反応する。


「それって」

「ちっ、生きていたのか」

「マジか、それなら納得だよ」


おい、誰だよ舌打ちしたのは。


「その反応、勇者様全員がご存知のようですね」


「ひとつ聞いておくが、お前達にそれを聞く覚悟があるのか」


「覚悟ですか・・・いいでしょう、聞きましょう。あれだけ非常識な事を見せつけられたのです、もう驚くことなんてある訳ありません」


「絶対驚くよね」


「うん、私達5人以外絶対驚いてチビっちゃうかも」


リアと優子、コソコソ話しているけど聞こえているからな。


「わかった、まず勇者5人が俺を知っていることからわかっていると思うが、俺も勇者達と同じ世界から来た地球人だ」


「「えっ、」」


なんでリアと優子が驚くんだよ。


「ファルコンって宇宙人だよね」

「宇宙の禁忌って言ってたから宇宙人のはずだよ」


コソコソ話してても聞こえてるって。


「やはり異世界人なのですね、それは納得出来ます」


「アサトの非常識さを考えると納得できるな」


「しかし、私達が召喚したのは勇者様5人だけのはず、どうしてアサト様はこの世界へ来ることが出来たのですか?」


「俺は元の世界で一度死んだんだ」


「えっ、アサト様の様な強者がなぜ。元の世界にはそれほどの魔物がいるのですか」


「違う、日本には魔物は居ない」


凶悪宇宙人や宇宙怪獣はたまに来るけどな。


「では、なぜ」


「そこらへんは暇な時でもリアに聞いてくれ」


「リアはご存知なのですか」


「はい、朝人さんは私を、私達の仲間を、国を、その国に住む全ての命を守る為に自分の命を犠牲にして守り、そして光となって消えて行ったんです」


「もしかして、リア、貴女に付いている加護って」


「そうです、この人の、朝人さんの加護です」


「・・・そんなっ、でも、いえ、アサト様、もしや貴方様は神様なのですか」


「前にもそんな事言われたが、俺は神なんかじゃないぞ」


「でも、加護を付けることのできるのは、神様、もしくは神に準ずるお方なのです」


「って言うか、リア、お前に俺の加護が付いていたのか」


「うん、それがどれだけうれしかったか、本当にうれしかったんだよ」


「そっ、そうか、たしかにお前の幸せを願っていたが」


「それで、一度死んでからどうなったんだ」


ソフィア、お前ってドライだな。


「で、俺はテレサに神界に連れて行かれた」


「テッ、テレサ・・・・様」


「そうだ、そこでテレサに頼まれたんだ。勇者を助け魔王を封印してくれってな」


「それではアサト様が封印を手伝っていただけると言うことですか」


「いや、俺は魔王を倒す」


「えっ、ご存知無いのですか、魔王を倒しても「新たな魔王がってことだろ」」


「そこまでご存知で、なぜ魔王を倒そうとするのですか」


「魔王を封印して、魔神復活を食い止めたとしても、魔神が存在する限りいつまたこのような事が起こっても不思議じゃない。それなら魔神の封印を解いて現れた魔神そのものを倒せば今後、魔神に怯える必要はなくなるだろう」


このセリフはオルグでも言ったな。


「魔神はテレサ様始め神々が協力してやっと封印したのです。それを倒すなんて一体誰が倒すというのですか、絶対に無理です」


「前はそう思って魔王を封印って思ってたけど、朝人さんがいる今となっては魔神まで倒してもらった方が後々楽だよね」


「たしかにそうだね、もう先延ばししなくていいし、本当の平和が訪れるってね」


リアと優子の言葉に、他の勇者3人も頷いている。


「テレサにも、もし魔神が復活した場合は倒してくださいって言われたしな」


「貴方は一体、神では無いと言う貴方は何者なんですか」


「「「「「レッドファルコン」」」」」


勇者達が声を揃えて言いやがった。


「「れっど・・ふぁるこん??」」


セイラとソフィアが首を傾げている。


今気づいたが、騎士団長と魔法師団長もいるが完全に空気だな。


「そのれっどふぁるこんとは一体?」


「朝人さん、もう変身して見せてあげなよ」


「・・・そうだな、でもここじゃ無理だから亜空間に行くか」




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