小説を書いてみたいけれど、どこから手を付けていいか分からない人へ

天城らん

1、ごっこ遊びをしてみよう

 小説を書いてみたいけれど、どこから手を付けていいか分からない人のための書き方の話



 ツイッターで小説や物語を書いてみたいけれど何から始めていいか分からないと言う方をちらほらお見かけしたので、最初の一歩が踏み出せるような手助けをできたらと思って書いてみますね。

(これは一文字も書いたことのない人向けのお話です)


  *


 まず、みなさんは子供の頃、お人形遊びやヒーローごっこ、おままごとなどはしたことがありますか?

 多くの方はあると思います。

 なにから初めていいか分からない方は、まずそのイメージを思い浮かべて下さい。

 かわいいお姫様、正義のヒーロー、時にはお医者さんだったり、先生だったり、ケーキ屋さんだったり、大人に扮して遊んだと思います。動物のぬいぐるみ同士で会話をしたりなどもありますね。

 自分ではない別の人物になりきって本気で遊ぶ。それがごっこ遊びです。

 小説はその要素を多く含んでいると私は思います。何を書いていいか分からない方は、まず、自分がなりたい職業や人物、動物でもいいですね。今の自分ではない何かだったら……と思い浮かべて下さい。


 次にもう一人、人物を思い浮かべて下さい。

 先の人と仲が良いあるいはライバルもいいですね。兄弟姉妹なども面白そうです。

 二人の登場人物が決まったら、ごっこ遊びスタートです。


 今は登場人物の説明は不要です。ただ、会話のみで遊んでみましょう。

 

   *


「ショートケーキ、4つください」

「かしこまりました。ショート4つね。今日はチョコレートじゃなくていいの?」

「うんいいの。ちーちゃんはイチゴが好きだから、今日はちーちゃんのすきなのをみんなでたべるの」

「そっか、おねえちゃんえらいね。特別におまけしてクッキーをあげるね」

「ありがとう☆」



 何か風景が浮かんだでしょうか?


 ここで簡単な設定を紹介します。

 登場人物は二人。場所はケーキ屋さん。

 小さい女の子が、妹の誕生日のためにケーキを買いに来て、店員のお姉さんがおまけにチョコクッキーを2枚くれました。


 それだけのただの日常の場面です。

 特別な個性のある人物の方が書きやすいとは思いますが、平凡な登場人物でも書ける例としてあげてみました。

 会話だけだと、シナリオのような寸劇のような感じですが、ここに少しだけ説明や表情、風景、動作などを加えていきます。全部でなくて大丈夫です。

 最初なので、頑張って多くすることはないです。思いついたことをメモのようにそっと添えてみてください。


  *


 町のケーキ屋さんに、髪をうさぎの耳のように結わえた小さい女の子が入ってきました。

「ショートケーキ、4つください」

「かしこまりました。ショート4つね。今日はチョコレートじゃなくていいの?」

 お店のお姉さんは、いつもはチョコレートケーキを買うのにと不思議がりました。

「うんいいの。ちーちゃんはイチゴが好きだから、今日はちーちゃんのすきなのをみんなでたべるの」

 ちーちゃんとは、女の子の妹です。

 きっと妹の誕生日なのでしょう。

「そっか、おねえちゃんえらいね。特別におまけしてクッキーをあげるね」

 そういうと、お店のお姉さんは女の子の好きなチョコの入ったクッキーを2枚おまけにくれました。

「ありがとう☆」

 女の子はにっこりと笑うと、ケーキとクッキーを大事そうに抱えて帰っていきました。


   *


 どうでしょう?

 少しは物語らしくなったでしょうか?

 まずは、長い短いは関係なしに思いついたことやセリフを自由に書いてみてください。

 それが、物語、小説の第一歩になります。



 慣れてきたら、ごっこ遊びから、人形遊びのように複数の登場人物を動かしたり、あるいは映画監督のような視点でカメラワークを考えたりができるようになります。

 原稿用紙の使い方、文章作法なども少し注意する点はあるのですが、そういうことは物語を考える楽しさを味わってからでいいと思います。


 



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