2、掌編小説を書いてみよう

 初エッセイに反応ありがとうございます。

 書き慣れた人ばかりのカクヨムで、こういう初心者向けのエッセイはあまり需要がないかと思っていたのでうれしいです。

 初心者の人にはやさしく、書き慣れた人には初心を思い出すきっかけや何かの気付きになれば幸いです。


   *


 小説を書いてみたいと思っているのに、何から始めていいか分からないと言う人は二通りいるかと思います。


1、頭の中に書きたい物語やキャラクターがあるのに文字として取り出せない人。


2、書くことに興味や憧れがあるものの、何を書いていいのか分からない人。


 前回のごっこ遊びから文章を書くことは、どちらの人にも当てはまるちょうどいい始まりだったかと思います。



 ごっこ遊びからの文章書きに慣れてきた人は、次は掌編小説に挑戦してみましょう。

 掌編小説は短編小説よりも短い、文字数100字~4000字程度小説のことです。

 だからといって掌編小説を上限の4000字で書こうと気負わなくても大丈夫です。

 どんなに短くてOKです。

 気楽に書いてみましょう。

 

  *

 

 今、みなさんの頭の中には壮大な物語が詰まっているか、あるいはまったく何も浮かばないかのどちらかだと思います。


 まず、書きたい物語が頭の中にある人の場合から案内したいと思います。

 頭の中に書きたい物語がある人は、その物語のワンシーンを切り取ってみてください。

 掌編は文字数が少ないので、場所の移動がない場面シーンが望ましいでしょう。

 ファンタジーなら、旅の始まり、旅の終わり、出会い、別れの場面が書きやすいですね。

 他のジャンルの物語でも同様かもしれません。物語を書く上でドラマチックな出来事でもありますから。

 物語の基本として、はじめ・中・おわり、起承転結が必要と言われますが、今は使わないのでいつか取り出すときまで大切に箱にしまっておいてくださいね。

 

 一場面の構成要素として、5W1Hをもとに必要そうなものをいくつかあげてみます。

(自己流なので足りないものがあったらすみません)


〈例〉

1、時間、時代や場所

2、人物の紹介。目的。

3、セリフ、会話。

4、主人公の様子。周りの風景。

5、心の中、気持ち、思い。

6、どこへ向かうか、これからどうするのか、未来。


 とりあえず、この順番に書いてみましょう。

 なんとなく形になると思います。

 今回、私は旅の始まり+少年。ファンタジーな感じの設定で書いてみます。


1、闇夜にまるい月が昇ってきた。(時間)

 緑の丘に立つと、小さな町の灯りがぽつぽつと見える。(場所)

2、貧しい羊飼いの僕は(人物紹介)、難しい病気の妹のために、どうしても不死鳥の血が欲しかった。(目的)

3、「母さんごめん。フィーリアのために絶対に不死鳥を捕まえてくるから」(セリフ)

4、僕は、錆びた短剣をきつく握る。(主人公の様子)

 周りの木々が、強い風に吹かれざわざわと鳴っている。(周りの風景)

5、不死鳥は強い魔物だ。生きて帰っては来れないかもと不安に思った。しかし、黙って妹の死を受け入れることなどできやしなかった。(気持ち、思い)

6、僕は、魔物が多く住む常闇の森に向かい、月明かりのなか歩みだした。(どこへ向かうか、目的。未来)



 1~6は、あくまで例なのでたくさん書いても一行でも構いません。慣れてきたら並び順も項目の欠けも気にしなくてもいいです。

 一つの道しるべ(ガイド)としてあげているだけなので、私もいつもこれの通りに書いているわけではありません。 

 即興の例文なので、完成と言うには少しもの足りない気もしますが、物語のはじまりとして、第一話にあげても良い感じになったと思います。


   *


 次は、今何を書いていいのか思いつかない人ですが、先にあげている旅の始まり、旅の終わり、出会い、別れなどがやはりドラマチックで想像しやすいかと思います。そこに登場人物(キャラ)を照らし合わせて頭の中で前回のごっこ遊びをしてみてください。その中から、気に入った一場面(場面転換なし)を抜き出したいと思います

 旅に限らず何かのイベントや出来事、悩みなどの始まりと結末、偶然の出会いなども身近な出来事でリアルに想像しやすいかもしれません。

 

 今回、私の設定はクリスマス(イベント)+女子高校生(登場人物)。偶然の出会いとしてみます。


1、今日はクリスマス・イブ。(時間)なのに私は駅前のケーキ屋さんにいた。(場所)

2、女子高生の私がなぜかサンタの赤い衣装で、ケーキを売っている。(人物紹介)どうしても壊れたスマホの代わりに新しいのが欲しいからだ。(目的)

3、「こんな日に、リョウ君に連絡が取れないなんて……」(会話)

「美冬ちゃん? 何してるの?」

「えっ、リョウ君!?」

「サンタちゃん似合ってるよ。俺、見れてラッキー☆」

4、私は片想い中のリョウ君との偶然の出会いに衣装よりも真っ赤になった。(主人公の様子)並木にはイルミネーションがキラキラと輝いている。(周りの風景)

5、私はドキドキした。これは運命? チャンス?(心の中、気持ち)

6、「ねえ、美冬ちゃん。その恰好かわいいから、一緒に写真とってもいい?」

 私は、うんうんと二つ返事で承諾した。

 その写真は、私の新しいスマホの待ち受けになるだろう。(どこへ向かうか、未来)

 

 

 短いワンシーンですけれど、これだけでもなんとなく掌編小説として読めるかと思います。


 *


 二つ例文を上げてみましたが、どうでしょうか?

 文章がどういう情報で成り立っているのかが見えてくると、こういうことを書けばいいのかと安心できるかと思います。

 なんだか、短い物語が書けそうな気分になりましたか?

 前回のセリフ遊びから文章を書くことと、今回の情報から文章を書くことを合わせると、短い小説(掌編小説)ができるかと思います。

 出来ましたら、最後に「おわり」と打って、物語を完成させてくださいね。


 そうすれば、完成……って、あ、すみませんタイトル(題名)をつけないと完成にならないんでした!


 次回はタイトル・題名の話をしますね。

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