第7話 開幕! 剣術闘技会

『秋の涼しい風が吹く剣術闘技会! 決勝で団長に挑戦する権利を手にいれるのは誰か! 司会はセラスタ騎士団団隊長カルエト・スクレが行います!』


カルエトの自己紹介が会場全体に響きわたり、盛り上がる観客の声が空気を揺らした。


剣術闘技会は身分に関係無く観戦できるためたくさんの人が会場に集まる一大イベントだ。


『さぁて! 開幕の宣言をするのは~!? この人だぁ!』


カルエトの煽りで最高潮に盛り上がった会場の真ん中に悠々と歩いて登場したセラスタ団長を見た観客からセラスタの名前を呼ぶ大きな声援が上がった。


「「セラスタ様ぁ!」」

「「団長様ぁ!」」

「「今年も完封勝利を!」」


セラスタが会場の真ん中で止まり自分の口元にマイクを持っていった瞬間観客の声が止まり会場は静寂に包まれた。


『努力の痕跡を俺に見せてくれ! 全力で励め! 

 只今より剣術闘技会開催だ!』


セラスタが開催宣言をして観客にお辞儀をした。  白を基調とした隊服と黒色のマントを靡かせ会場から帰った。


セラスタの開催宣言を聞き少々の沈黙の後に会場から空気が割れるような歓声が一斉に響いた。


『団長ありがとうございます! ルール説明は事前に伝えてますが改めて連絡します!』


カルエトが指で数字を作りながら観客と選手に改めてルール説明をした。


『時間制限無し

 拳もOK!

 勝利条件は相手に『降参』か『参った』を言わせることか、気絶させること

 1.武器は事前に申請している武器を使うこと

 2.外部からの妨害や手助けをしてもらったら失格

 3.不正防止のため他選手の控え室への出入り禁止

 4.会場を大きく破壊する攻撃は失格

 5.場外は無し!

 6.手加減しないこと!

 危なくなったら団長かポルト隊長が止めるので! 

 ルールは以上!』


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開催宣言の熱が冷めずにずっと盛り上がっている会場に背を向けて団長席に移動するセラスタの視界の先にマカトがいた。


「マカト? どうしたんだ?」


マカトの方に駆け寄ったら不安そうに両手で服を握りしめながらうつむいて言いづらそうに下唇を噛んでいたが、意を決したように顔を上げセラスタの目を見て震える声で話しかけた


「ねぇ団長……死なないでほしいったい」


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「お! 遅かったやないか。ええ宣言やったで~? 『努力の痕跡を俺に見せてくれ』言うてな~」


団長席の横に座っているポルトが椅子越しに振り向いて茶化すようにさっきの宣言を繰り返す


「うるせぇよ」


セラスタの後ろを覗き込む仕草をしてから、眉を潜めてセラスタの方を見て聞いた


「ん…? マカトはどうした?」

「マカトはこの後用があるから遅れて戻るってよ」

「ふ~ん…? ほれ、椅子座りぃ」


ポルトに催促されてセラスタが椅子に座ったセラスタに小さな声で話を続けた


「何の話しとった」

「死なないでほしいって」

「涙ためてたやろ」


自分が応援している隊長の名前を叫んで騒がしい会場を見下ろしながらどこか辛そうに黙って頷くセラスタのことを横目で見ながらポルトが声をかけようとしたときに試合開始を知らせる太鼓の音が響きわたった


『第壱試合! 早速面白い組み合わせだぁ! 

 セラスタ騎士団副団長セレスト・パッセ!

         VS

 セラスタ騎士団5番隊隊長ピラーサ・フラン!』


意外なマッチアップに一瞬どよめきがあったがその後空気が割れるほどの大きな歓声があがった

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