第6話 会議とその後

セレスの魔法が起こる瞬間セレストの体が空中に浮かんだおかげでセレストに魔法が直撃しなかった。空中に浮かんだセレストがピンク色の髪をした少年のところに雑に渡された。


「はいは~い。そこまでや。団長さん? マカト~セレスト怪我してへんか?」

「怪我はないたい」


眠そうに目を掻きながら立ち上がった男にマカトと呼ばれた少年がセレストの体を確認しながら怪我無いことを伝えた。


「そかそか。ほんなら良かったわ。ところで、なんで団長さんはこないに暴れてるん?」


「ポルト寝てた?」


状況を理解出来ていない男に呆れたように肩をすくめながらアレストが聞いた。


「せやな~。寝とったわ!」


まるで反省していないように自分の頭を軽く叩いて笑顔で答えていた。


「僕は医学書読んでて話聞いてなかっただけだからポルトと一瞬にしないでほしいたい」


そんな態度をしているポルトのことを一瞥もしないでアレストの方に指を指して弁明していた。


「どっちも誉められるものじゃないっすよ?」


薄いピンクの髪色をしてマッシュヘアの幼さの残る顔立ちをしていてピンクのマントを羽織っている3番隊隊長マカト・タント


紺色の肩まである長さの外にハネている髪をしている紺のマントを羽織った6番隊隊長ポルト・レードル


この2人が呑気に会話していた。


「ほんなら、団長さんのこと適当な部屋んとこ運んどくなぁ」


眠っているセレスを担いで軍岐室を後にした。


「相変わらずポルトの行動は分からないし、何してるか分からんやつなのじゃ。今も何で団長殿が眠ったか分からないのじゃ」


ポルトが出ていった扉を見ながらノルンが言った。

「いけすかねぇやつだろあいつ」


ゼーストが手に持ったセレスの剣を握りしめた。


「あ! そやそや! 団長さんの剣ちょーだい。起きたときに手元に愛刀無かったらいくら団長さんでも不安やろ?」


ひょこっと顔を出したポルトがゼーストから剣を貰って「ほなな~」とひらひらと手を振って軍岐室を出た。


「とりあえず、会議は終わり。一番話したい内容は話せたから後の細かいことは僕がやっとくよ。カルエト少し手伝ってくれる?」

「了解っす!」


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「ーーん」

「起きたか。ほんまに軍岐室大変やったんやで? 薬で眠らせたから良かったもののって話や」

「悪かった…」


「すぐに武力行使しようとするとこ治さんとアカンっていつも言ってるやろ そこらへんもゼーストの師匠って感じやけどな」

「お前の部屋か」

「そやでぇ」


ベッドに横になったままずっと黙っているセレスを見てポルトがわざとらしい大きなため息を着いた。


「何を気にしてん。セレストのことか? セレストやったらマカトが怪我無いって言っとったから問題ないで」

「ポルト怒ってるか?」


「当たり前やろ。ええ加減にせえよ」

「すまん……」

「ほんまに気ぃつけや。あと今部屋なんやからポルト呼び止めぇや」

「え? ヤダよ」


セラスタに『ヤダよ』と言われてショックを受けたように地面に手を付いて地面を殴った

そんな様子のポルトを蔑むような目で見つめているセラスタの視線に気づき軽く咳払いをして真剣な眼差しでセラスタに聞いた


「お前さん今悩みがあるやろ?」

「急に占い師のフリしてる詐欺師みたいなこと言われても……」

「詐欺師やないわ!」


ポルトの切り替えの早さに引いてるセラスタの視線に心を痛めながらポルトが話を続けた


「誰でもええから相談するべきやからな? お前の場合1人で抱え込む癖あるからな」

「話続けるんだな」


ポルトからの有り難い御高説を聞き流したセラスタの頭を両手で乱暴に撫でてから、布団をめくって当たり前のようにセラスタの横に寝っ転がった。


「ねぇ……髪ぐしゃぐしゃなんだけど」

「あと寝るだけなんやからええやろ?」

「まぁいいけどさ」


髪をぐしゃぐしゃにされて少し不満そうに口を尖らせたセラスタの体をポンポンと叩きながらその後すぐに寝たセラスタの顔をしばらく眺めていた。


(俺らにも相談せんってのはちいーっとばかし寂しいな。けど人に頼るのが絶望的に下手くそやからな難儀な奴やな……)


眠っているセラスタの顔を見ていたらつられて眠くなったポルトが寝てたら部屋の入り口からとんでもない殺気を感じてポルトが武器を握って部屋の入り口を見た


「あぁ、なんやお前さんか」

「ポルト? なんで団長の横で寝てるのさ?」

ポルトに矢を向けながら笑顔で問いかけるアレストの横には剣を構えたセレストもいた


「おーおー。怖いやっちゃ。自分らの殺気で団長さん起きてまうで。それに俺は手品師なんやから戦闘は苦手分野やで」


「あのタイミングで俺と団長の距離を離してくれたことは感謝してるが、あれも手品か?」

「せやでぇ。手品師たるものどんな場所にも手品のネタを罠みたいに張っとくんやで。そこも危ないで」


ポルトが入り口の扉を指した瞬間扉が勢いよく閉まった


「あっぶな! ホントにどうゆう原理なのさ」


アレストとセレストが反射で急に閉まってきた扉を壊してすぐにポルトの方に視界を向けた


「ほい。今ので2人とも死んだで」


ポルトの方に視界を向けた瞬間カッターナイフくらいの長さの短剣を2人の首に当てている


「なんでお前はそんだけ強いのに後方支援の隊の隊長やってんだ?」

「言ったやろ?俺は手品師。普段の戦みたいな平野やったら俺はまともに戦えへんのや。俺は室内でこそ輝く男やからな~」


短剣を腰のベルトにしまって部屋に置いてあるソファーに腰をかけて水を飲んだ


「んで? 副団長おふたりさんが何の用や?」


「そろそろ時間ですのでお迎えにあがったのですよ」


壊されたポルトの部屋の扉からサミダレが顔を出して寝ているセレスを抱き抱えてポルトの部屋を出た


「ほんなら、次会うのは剣術闘技会か?」

「そうだね。参加する?」


「あ~……今年は出場蹴るわ。舞踏会で襲撃あったんならまた狙われる可能性もあるし、すぐに俺と団長さんが対処出来れば他が楽やろ」


「オッケー。じゃあ今年は参加しないんだね」

「おん」

「じゃあなポルト」


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全員帰った部屋で水を飲みながらポケットから取り出した手紙を読んだ


「なんやねん。急にこないな手紙こっそり渡してきおってからに。えぇっとなになに…?」


手紙を読み終わったポルトがその場で手紙を燃やして床に座り込んで頭を抱えた。


「騎士団内に裏切り者がおる……ねぇ」


首に着けていたペンダントの幼い頃の天真爛漫な笑顔を見せる少女の写真を見つめながらポルト以外誰もいない部屋で怒気を孕んだ声色で呟いた


「セラスタを裏切る不届きが許される道理は無いな……」


静まりかえった部屋には時計の針の音だけが響いている

ペンダントを握りしめて三日月が光る夜空を見つめた


(裏切り者のことを伝えるべきか……)


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「ん……」

「セレス様おはようございます」

「あれ? サミさん?」


寝ぼけ眼を擦りながら起き上がって周りを見て、状況を理解して首を傾げた


「あれ? なんで俺の部屋? あぁサミさんが迎えに来てくれたのか!」


まだ寝ぼけた口調で言ったセレスの言葉にサミダレが黙って頷いた


「セレス…ポルトに変なことされてない?」

「変なこと?」


アレストが鬼気迫る顔をして距離を詰めてセレスに聞いた


「なんもされてないよ」


セレスの呑気な返事を聞いたアレストとセレストがセレスの肩を掴んでセレスを揺らしてもう一度聞いた


「「ほんとうに?」」

「ホントだよ」


揺らされながらセレスが返事をして、思い出したようにセレスがアレストとセレストに質問した


「2人とも眼の調子は大丈夫?」

「「大丈夫」」

「アレストは大丈夫そうだけど、セレストは結構眼を使うから心配」

「僕もセレストも自分で加減しながら眼使ってるかなら大丈夫だよ」

「ならよかった」


アレストとセレストの眼の調子が大丈夫だと聞いて安心したように笑ったセレスを見て2人がセレスの頬にキスをした


「「おやすみ」」

「2人ともおやすみ」


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アレストとセレストが帰った部屋でセレスと二人きりになったサミダレが周りを警戒しながらこっそり質問した


「あのおふたりの眼のことは誰が知っているのですか?」

「私 親父さん サミさん 当人の2人だけ」

「ファレル家の当主様は知らないのですか?」

「あの人は知らないし、教えない」


セレスの怒りを含んだ言い方を聞いて黙って頷いて別の質問をした


「セレス様の出自のことは…」

「私 親父さん 兄さん サミさん アレスト セレスト カルエトだけ。他の隊長達も知らない」


白銀の髪から覗いたセレスの目はどこか遠く深いところを見ていたのをサミダレは気づいたがセレス自身は気づいていなかった


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サミダレが廊下の突き当たりにある部屋を4回ノックして部屋の中から


「どうぞ」


という声を聞いてから部屋に入った。


「キルト様……セレス様にあの事を伝えないのですか?」

「うん。ホントは伝えたいけど剣術闘技会に集中してほしいからね。ポルト君には伝えた」


『集中してほしい』というキルトの言葉を聞いてサミダレが納得したように頷いて、床に座って刀を手入れしながら刀に反射して見える三日月を見つめて


「涼風や ほの三日月の 羽黒山」

「サミダレのとこの唄かい?」

「わたくしの好きな唄でございます」


「セレスちゃんってレヴァンティンと雨ノ羽々斬りどっちがメインなの?」

「昔聞いたら羽々斬りらしいですよ」


「剣術闘技会でもどっちも使わないんだろうね。武器は何を使うんだろう」

「それは本番でのお楽しみですね」

「楽しみだな」


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三日月が綺麗に出ている森の中で剣を振る音が響いている。


(魔法なんか使わなくても誰かを助けられるように……)


剣を降ろして近くにあった湖畔の水で顔を洗って、自分の側に置いた2刀を優しく撫でるように触って空の三日月を見つめるセレスがいた。


「剣術闘技会は明日…誰が俺と対戦するのかな」


「またここっすか?」

「カルエト、お前寝てないのか?」

「それはそっちもっすよ?」


自分も寝てないのにカルエトの心配をするセレスの言葉を聞いて肩をすくめながら苦笑してセレスの横に座って


「はいこれ。桃のカプレーゼっすよ」

「ありがと。桃とオリーブオイルって合うの?」

「前にノルンが作ったやつ試食したけど結構美味しかったっすよ」


カルエトからのお墨付きをもらってる桃のカプレーゼを口に入れて何度も頷いて


「うん! これ旨いな! 今度ノルンに頼もっかな」

「セレスさんの頼みだったらすぐに作ってくれそうっすね」


皿に盛り付けられたカプレーゼを食べ終えて、指に付いたオリーブオイルを舐めてからハンカチで手を拭いてから立ち上がってカルエトの方を向いた。


「ちょっと付き合ってくれよ」

「それは魔法ありっすか?」

「あり」

「1分だけっすよ? これが終わったら寝てくださいっすよ」

「分かったよ」

「お手柔らかにお願いするっす」


太ももに巻き付けたベルトから苦無のような形をした武器を取り出した。


「苦手なんだよなぁエストレーラ……」

「エストレーラをくれたのはあなたっすよ」


エストレーラと呼ばれた武器を構えたカルエトを見て細身の刀を鞘から抜き、指で円を作った。


「範囲指定」


『範囲指定』とセレスが言った瞬間空から薄い膜のようなものが降りた。


「さぁ、この範囲なら暴れ放題だぞ」

「明日に影響無いようにしてほしいっすね」

「お前明日司会だろ」

「司会も疲れるんすよ!」

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