クリスマスに予定なんてある?ないよ?
学校に行くと
「アンタがいなかった二日分の授業のノート写してすぐに返してよ」
「ありがとう。今度何か奢る」
「別にそういうのはいらないからちゃっちゃと映して返して」
私が抱き着くと彼女の綺麗な顔を不快そうに歪めた。
「ちゃんと寝てるよね?」
棗がジッと私を睨む。
「ね、寝てるって…寝てなかったらどうするつもりなの…?」
「強制的に寝かせる」
「ちゃんと寝てて良かった!」
そう私は遅くまで起きて勉強する。ではなく、早く寝て早く起きるにした。
十二時には寝るように努力している。
私にしては成長したと思う。
「あ、そういえばあんたクリスマス…」
「グッバイ!」
十二月に入っていたのは知っている。でも私にクリスマスの予定がある訳が無い。
私は家で勉強するんだ!それ以外にクリスマス用事があると思うなよ!
「アンタの好きな人誘えばいいじゃん」
「やめて!隼人さんは忙しいんだから!私誘いたいけども!」
隼人さんはクリスマスはいつも通りお仕事だから、断られるし。そもそも忙しくなくて休みでも断られる気がする。
隼人さんはどうしているだろう?頭の隅でそんな事を考えて授業をいつも通り受ける。
問題を当てられたら立って特に驚くことなく解いて席に座る。
隣の男子が授業の終わりを知らせるチャイムで立って私に解けなかった問題を聞いてくるのを嫌な顔せずに一緒に考えたり、これがいつもの生活。
「
「ないよ。
隣の席の
「皆で出かけようって話してるんだよね、安藤さんもどう?」
「私は良いよ。皆で楽しんできて」
「そう言わずにどう?」
藤原くんはいつもどうしてか分からないけど私にグイグイ来る。
毎回カラオケやらお出かけやらと誘ってくる。
私はそれをやんわりと断って隼人さんのお店に行って過ごすのが当たり前になってきた。
「勉強しないといけないから」
今の私にとって断る理由として一番使える言葉を彼に言うと彼は残念そうな顔をした。
「ごめんね」
「気にしないでいいよ」
何とか回避して私のクリスマスの予定は真っ白の何も無いままに出来た。
別に隼人さんと何かしたいとかそういう訳ではないけれど、少しでも良いから隼人さんの顔を見たい。
「ハッキリ言えば?思うことがあるんなら」
棗は私の席の前に椅子を持ってきて座った。
私は突っ伏して大きなため息をついた。
「言えるものなら言ってるって…」
ハッキリと言ってしまえば藤原くんとその彼と遊んでいる連中はあまり成績的はいい方ではない。
棗も誘われていたが「遊んでて勉強に支障出たら嫌だから」とハッキリ言って断ったらしい。
「ああいうのはねきっちり断っておくのよ。曖昧な返事してると一生しつこく遊ぼって誘ってくるよ」
「んー分かってるよママぁー」
「お前みたいな子供を産んだ覚えは無い。アンタどうせクリスマスもカフェ行くんでしょ?」
「当たり前でしょ!クリスマスも隼人さんの顔見に行く!」
勢いよく起き上がって私はノートを広げた。
「棗!急いで写すから!そんで今日は絶対に隼人さんのご尊顔を見る!」
「隼人さんって神様か何かなの…?」
「仏様以上の存在!」
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