好きを言い続けてn回目
赤猫
今日も私は好きを叫ぶ
中学三年生の時私はとあるカフェのマスターさんに初恋をした。
でも私と彼には大きな壁があった…歳の差である。
十くらい歳が離れていて恋人くらいいるだろうと勝手に思って失恋したと思っていたが彼とお話しているお客さんが「いい加減彼女つくりなよー?」と話していることを聞いて私の恋は再発した。
受験が終わって高校生になってからは毎日は通えないけど勉強に部活にカフェに通うためのお金を稼ぐためにバイトをする。という生活をしている。
でもそろそろそれも終わりにしないといけないと思ってきた。
理由は簡単高校三年生だからだ。
来年は大学生であって行きたい大学のために努力をしないといけない。
いつまでも恋に現を抜かす女の子ではいけないのだ。
「こんにちはー!」
私はいつも通り元気よく大好きな
隼人さんはまた来たのかと呆れた顔をして私を見る。
笑顔も好きだけど呆れた顔をして私を見るその顔も好きです!!
「また来て…勉強は良いのか?」
「ふっふっ…ここでやりますのでご心配なく!」
私がそう言うと私の頭を優しくげんこつをした。
「なーにが大丈夫だ!お前の将来の事だろうが、もうちょっと真剣にだな…」
「あー!あー!聞きたくないですー!」
私は耳を塞いで聞こえないふりをする。
好きな隼人さんの声でもこれは聞きたくない。
私は逃げるように席に座って参考書を広げる。
「注文は?」
「紅茶でお願いします!」
はいはいと笑いながらも注文を聞いて隼人さんは紅茶を淹れてくれる。
「ダージリンでございます」
上品な仕草で渡してくるせいで先程の嫌な気持ちから一気に胸がドキドキしてしまう。
「ありがとうございます」
「暇だから相席しても?」
他のお客さんは微笑ましそうに私たちを見ている。
隼人さんはそれを困った顔をして見て小さくため息をついた。
「ああああ、相席?!どうぞ?!」
「好き好き言ってるわりにそこは動揺するのかよ」
私がなぜここまで慌てているかというと、今まで隼人さんは私がいくら隣座ってくれませんかと誘っても断り続けてきてきていて最近百回になったのに…。
「私今日死ぬのかな…?」
「それくらいで死なれたら困る」
「それはいないと寂しい的な…?!」
「アホ常連が減ると俺の給料が減るだろうが」
「ですよねー」
ちょっと期待したけどやっぱりいつも通りの隼人さんで安心した。
「隼人さん私が勉強してるところ見ても面白くないと思いますけど」
「面白いコロコロと表情変わるから見てて飽きない」
「つまり可愛いということ…?!」
「すごいポジティブだな」
「はい!それが私の取柄なので!」
そうかいそうかいと隼人さんは笑って私を見た。
「子供扱いしないでください」
私はムッとして隼人さんを睨んだ。
隼人さんは私の事を女ではなく子供として見ている。
悔しいどれだけ好きと言っても「はいはい」と適当に流されていつも私は幼い子供の様に扱ってくる。
「こんなおじさんにとっちゃお前は子供だよ」
「私は恋愛対象として見てもらいたいです!」
「あのなぁ…こんなおじさんのどこを好きになったんだよ?」
「聞きたいですか?」
「あーやっぱいいわ」
「ひどい!そっちがその気にさせたのにー」
「言い方!…早く勉強しろ!」
「はーい」
私は渋々ノートに視線を移した。
誰かを好きになるのは突然で、私が隼人さんを好きになったのは突然だった。
「はぁ…」
高校受験はしんどいと先に卒業した部活の先輩を見て理解はしていたが、実際に自分がその立場になると身に染みる。
毎日家に帰ってお風呂に入ってご飯を食べて寝るまで机に向かうの繰り返し学校に行っても過去問演習とか授業とかばっかりで嫌になる。
「帰りたくないなぁ…」
「不良娘か?」
「うわっ!」
私は不意に声をかけられてビクリと肩を揺らした。
振り向くと紙袋を持ったお兄さん?がいた。
「で、不良娘なにしてんの?」
「不良娘じゃないです!私にはちゃんと
「はいはいうるさいなぁ最近のガキは」
初対面の相手に対してこの人はすごく失礼だ。
疲れているから尚更私はイライラした。
「そんなカリカリしてるとカリカリ梅になるぞ」
「なりません!私急いでるんて帰ります!」
「おっとちょっと待て」
「もー!今度はなんなんですか?!私勉強しないといけないんですケド?!」
「まぁまぁそう言わずにさ気分転換だと思ってちょうどお客さん欲しかったんだよな」
グイグイと背中を押されて私はお店に入れられた。
「はいここ座って」
私はカウンター席に案内されて座った。
何もしないのは流石にと思って参考書を鞄から取り出そうとするが彼に止められた。
「勉強のこと今は忘れよう」
「はぁ?!私受験生なんですよ!一分一秒でも多く勉強しないと…」
「こん詰めすぎても仕方ないでしょうが、休むのも大切なの」
はい鞄ボッシュ〜と楽しそうに笑って私の鞄を取上げた。
「まぁゆっくり見てなよ。俺紅茶淹れるの上手いから」
私は紅茶の匂いにホッと一つため息が漏れた。
「さっきより良い顔になったな」
「え?」
「さっきまでブスな顔してたからさ」
こんな感じと言って彼は私のマネをしているつもりらしい。
ほぼ変顔で私はぷっと噴き出した。
「人が真剣にやってるのに笑うの良くないぞ!」
「あはは!…だ、だってふふっその顔…ダメ笑いすぎて涙が…」
「面白い?」
「…はい超面白いです」
私がそう言うと満足そうに彼は笑った。
その優しい笑顔に私は一目惚れをした。
ビビっと電流がはしる時私はとあるカフェのマスターさんに初恋をした。
今思い出すとすごい失礼なこと言ったかな?とか嫌われてないかな?とか不安で頭がいっぱいいっぱいになる。
でもこうして今普通に話せているから嫌われてはいないのだろうか?
「はぁ…」
「解んないとこでも出たか?」
「いえ、人生について悩んでいるとついため息が」
「なんだそれ…?将来何したいの?」
「隼人さんの恋人!」
私がそういうと光の速さで隼人さんはスパーンと丸めた雑誌で頭を叩かれた。
「何するんですか?!」
「こっちのセリフだ!何言い出すんだお前は!」
「照れてるー」
「ちょっとは恥じらいを持て?!」
持つつもりはないですね。
だって隼人さんのこと大好きなんだから堂々とする。
恥ずかしいことなんて何一つとして存在しないのだから。
「俺よりもっとカッコイイ人なんて沢山いるだろ?学校にいないの?そういう奴?」
「いません!私隼人さん以外しか恋愛対象いないので!」
私が胸を張って自信満々にドヤ顔をして言うと隼人さんは頭を抱えていた。
「誰かこいつを何とかしてくれ…」
「困った隼人さんも素敵です」
私が満面の笑みでそう言うと隼人さんが先程よりも少し力の入ったデコピンをしてきた。
その時に見た隼人さんの顔はほんのりと赤くなっていたのを私は見逃さなかった。
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