第007話 『巨大遺跡の開かずの扉』②
本来であれば11、12歳の子供が冒険気分で訪れられる距離でもなければ、子供どころか相当に山慣れした大人の猟師や山師であっても、おいそれと踏み入れられるような温い山岳地帯でもない。
管理された
そこにどれほどの富があるとしても、生きて帰れないことが明確な場所であれば、それはないものと看做して近づかないのが賢者の判断というものである。
君子危うきに近寄らず、とは至言であるのだ。
それ以前にあるかないかすらわからない、それを明確にするための『調査』――無駄足になるかもしれないことに対してそれほどの戦力を避けるほど、ヒトはまだ力を余らせてはいないということでもある。
シロウたちが当たり前のように繰り返し攻略しているこの場所は、入り口などどこにも見当たらない地下深くである。
そこに
まず発見すること自体が不可能ごとだろう。
だが子供であり、『
この場の景色からしてして、今の時代において
地下である以上、地上に散見される
まず広い。
現代のヒトが辛うじて攻略し、背負う高いリスクに応じたリターンを持ち帰っているそれらの場所は
5人から6人で一単位となる
尤もそれはヒトに攻略可能な範囲、という意味においてではある。
その多くはそのまま未帰還者となり、運よく何人かが生きて帰れても二度と戦えない体になっていることがほとんどというのが過酷な現実である。
そんな一般に知られている
それも二倍、三倍といった程度ではない規模である。
地下に広大な空間が広がっており、各階層というよりは繋がったままにより深い地域までたどり着けるような構造になっている。
天井を構成する地殻には淡い光を発する魔鉱石が散在しており、地下であっても充分に明るい。
魔鉱石とは一部の鉱石が長時間魔力にさらされた結果、微量な魔力を帯びて自ら発光するようになったものを指し、『魔石』とはまた違う、だがこの時代では間違いなく希少鉱石のひとつだ。
シロウたちは必要量を削り出し、
その光に照らし出される地下空間には地上山岳地帯に流れる広大な川の水や地下水が湧水として高い位置のそこかしこから滝のごとく湧き落ちており、底すら知れぬ奈落に向かって膨大な水量が轟音と水煙ともに注ぎつづけられている。
光と水煙が幾重にも重なる虹を生み出しており、地上世界では見ることのできない異様な、しかし美しい光景となっている。
そして土があり、光と水があるとなれば植物はそれがどんな秘境、封じられた地であったとしてもその根を伸ばし、葉を生い茂らせる。
それらは数千年かけて育った樹木と、毎年繰り返し茂っては増える地草が混然となり、この場の基礎色調、その約半分を緑系で染めるまでに至っている。
ありていに言えば、この世のものではないかのように美しい景色を成立させているのだ。
それが
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