第16話 私はまだ処女なんです!
前回のあらすじっ!
リンスレットさんから渡された避妊具をポケットから落としてしまい、ミレーユさんに見られてしまった!やべぇ!マジ、やべぇ!以上っ!
俺とミレーユさんは地面に落ちた避妊具を見て固まる。
(ギャァァァァァァ!!!!なんでポロッと落ちるの!?えっ!運命は俺に試練を与えたいのか!?)
俺は心の中で、運命を呪う言葉をひたすら嘆き続ける。
そして、5分後…
(ふぅ。まぁ落ち着け。クールになれ、日向真白)
パニックになっている時、唐突にやって来る『クールタイム』を迎える。
(俺が避妊具を落としてから5分くらい経っているが、ミレーユさんは動く気配がなかった。何かアクションを起こされる前に、とりあえず状況を整理しよう)
そう思って状況を整理する。
1.演技指導をお願いする陰キャ
2.その陰キャが、演技指導では使うはずのない
避妊具を持ってきている
(ふむふむ。つまり、演技指導は口実で、実はエッチなことが目的だと思われてもおかしくない状況となってるってことだな……やべぇよ!はやく弁明しないと!)
そう思い、弁明しようとすると…
「あ、あの……シ、シロ様?こ、これは確か……エ、エッチに使うもの……ですよね?」
ミレーユさんは顔を赤くしながら聞いてくる。
(くっ!弁明する前にミレーユさんから聞かれてしまったが………誤魔化す方法が全く思いつかねぇ!)
「えーっと……こ、これはなんだろうね……」
よって俺は、とぼける作戦に出る。
「わ、私の目には、エ、エッチに使うものにしか見えないのですが………も、もしかしてシロ様は私と、エ、エッチなことがしたい……ってことですか?」
先程よりも一段と顔を赤くして、俺に聞いてくる。
「ち、違うぞ!?いや、確かに、ここに持って来ている時点でそう思われても仕方ないけど!お、俺はミレーユさんを襲ったりする予定はない!」
「じゃ、じゃあ、なんで持って来てるのですか?」
(そりゃそう聞き返すよな……マジ、どうしよ……)
俺は様々な返答パターンを考えていると…
(そうだ!この方法なら俺が避妊具を持っていることを誤魔化せるぞ!ミレーユさんには意地悪することになるが、致し方ない!)
俺はそう決意して…
「ねぇ、ミレーユさん」
「は、はい!な、なんでしょうか!?」
「たしかに、ミレーユさんの言う通り、これはエッチに使うものだよ。でも、正方形の袋を見ただけでよくわかったね。もしかして、ミレーユさんって……エッチなことが大好きな女の子なのかな?」
俺の言葉を聞いて、赤みが落ち着いて来た顔が“ボッ!”と、沸騰したかのように再度真っ赤になる。
「なっ!そ、そんなことないです!」
(うん、そうだと思うよ。CM撮影の日、桜と穂乃果から『ビッチ』って呼ばれた時、テンパって処女って自ら言ってたからな。だからこそ、この方向ならミレーユさんがバグって、誤魔化せる!)
俺は手応えを感じて、さらに意地悪をする。
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、何故、これがエッチなことに使うものってわかったの?」
「え、えーっと……い、いざって時に勉強してた方がいいと、リンスレットから……」
「へぇ、そうなんだ。勉強したんだね。やっぱりエッチなことが大好きな女の子なのかな?」
「そ、そんなこと……」
「実はビッチ……とか?」
「ち、違います!私はまだ処女なんです!」
(おいぃぃぃ!!!どんだけテンパってんだよ!そんなこと暴露しなくていいんだけど!)
しかし、ここまで来たからには戻ることはできず…
「へぇ、ホントかな?」
「し、信じてないですね!な、なら!い、今からそれを証明して見せます!」
「へ?」
俺が困惑していると、真っ赤な顔をしたミレーユさんは、スカートを脱ごうとする。
「ちょっと!何してんの!?」
俺はミレーユさんを止めるため、両手を掴む。
「離してください!私がビッチじゃないことをシロ様に証明するんです!」
「しなくていいから!ミレーユさんがビッチじゃないことはわかったから!」
「ダメです!実際に処女であるところを見てもらわないと!」
「やめて!俺が犯罪者になるから!」
未だに目をぐるぐる回しながら、スカートを脱ごうとするミレーユさん。
俺はミレーユさんの両手を掴みながら、必死に止めていると…
「はぁ、何やってるんですか」
すぐ近くにリンスレットさんがいた。
「あ、リンスレットさん!いいところに!ミレーユさんを止めるの手伝って!」
俺は鬼気迫る感じでリンスレットさんにお願いするが…
「ホントにいいのですか?」
なぜか聞き返された。
「あ、あぁ。さすがにスカートを脱ぐのはやり過ぎだ」
「はぁ、わかりました」
渋々感を出しながら了承して、ミレーユさんに近づく。
「お嬢様。今、何をしようとしているか、よく考えてください」
「何って、シロ様にビッチでないことを証明するため、スカートを脱いで………」
そこまで言って、ミレーユさんは固まる。
そして…
「―――――!!」
声にならない声を叫びながら、目をぐるぐると回して倒れ込む。
「あ、ありがと、リンスレットさん」
「いえ、これくらいお安い御用です」
(ふぅ、リンスレットさんのおかげでなんとかなったな………いや、待てよ?全ての元凶はリンスレットさんじゃね?)
そう思って、リンスレットさんに文句を言おうとすると…
「それにしてもよかったのですか?」
「ん?何が?」
「いえ、部屋の外で盗聴していたら、お嬢様がスカートを脱ぐところを、なぜか止めようとしてたので」
“なぜか”の部分を強調して言うリンスレットさん。
「そりゃ、止めるのは当たり前だろ?ミレーユさんに醜態を晒させるわけにはいかない」
「はぁ、当たり前ですか……」
ため息をするリンスレットさん。
「って!部屋の外で盗み聞きしてたの!?」
「はい。お嬢様の部屋に誰かが入られると、シロ様がここにいらっしゃることがバレてしまいますので、ずっとドアの前にいました」
(た、たしかに。俺がここにいることがミレーユさんのお母さんにバレるとマズイらしいから、ドアの前にいるのが正解なんだが……)
俺はそのことを聞いて、リンスレットさんに確認しなければならないことができた。
「な、なぁ、リンスレットさん。も、もしかして、俺がミレーユさんに意地悪なこと言ってたの、聞いてた?」
「はい、それはもうバッチリと」
「ギャァァァァァァ!!!!」
(終わった……俺の黒歴史が、リンスレットさんに……)
俺は真っ白な灰のように燃え尽きる。
すると、リンスレットさんが…
「シロ様。なぜ私からゴムを渡されたって言わなかったのですか?」
俺に質問をしてくる。
「ん?だって、言ってしまったら、二人の関係が悪くなってしまうと思って……」
俺が思っていたことを素直に話す。
すると…
「ふふっ、そんなことぐらいで、私とお嬢様の関係が悪くなることはありませんよ」
リンスレットさんは笑いながら答える。
「そ、そうか……」
(まぁ、避妊具の件を誤魔化せたから良しとするか。ミレーユさんには申し訳ないことをしてしまったが……)
俺はリンスレットさんの笑顔を見ながらそう思った。
その後…
「なぁ、もし俺とミレーユさんがエッチなことを始めたら、どうするつもりだったんだ?」
「その場合はドアの隙間からこっそりと録画する予定でした」
「……………………」
「ちなみに、そんな展開どころか、面白いイベントが起きそうにないと判断した場合は、何らかの理由で部屋に入り、シロ様のポケットから避妊具が落ちたかのように、私が避妊具を落とす予定でした」
「……………………」
(俺、この人とは出来るだけ関わらない方がいいかもしれない)
そんなことを思った。
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