二章 芸能界デビューすることになりました。コスプレのせいで。

第6話 はいはい、寝言は寝て言って

【二章開始】


前回のあらすじっ!

 俺はとりあえず芸能界デビューしました。多分、活動することはないでしょう。以上っ!




 俺は、芸能界デビューすることを神野さんに伝える。


「ホントですか!?よかったぁ。社長から我が社の命運を託されたので、達成できて一安心です」


(竹内社長、神野さんに負担かけすぎだろ!まぁ、達成できて何よりだ。何が達成できたのかは知らんが…)


「では!簡単に契約をさせていただきますが、ご両親はどちらにいらっしゃるのでしょうか?」


「あ、俺の両親はそろそろ帰ってくると思うのですが……」


 そんな話をしていると…


「ただいま〜」


 俺の父さん『日向碧ひなたあお』が仕事から帰ってきた。どうやら、母さんはまだ、仕事から帰ってこないらしい。


 ちなみに、俺たちの家族は、俺の父さんと桜の母さんが再婚し、俺は父さんの連れ子、桜は母さんの連れ子なため、桜とは義理の兄妹となる。


「お、来客か」


「お邪魔しております!」


「あ、父さん!ちょっと話したいことがあるんだ!」


「ん?なんだ?」


 俺は簡単に芸能界デビューする旨を説明する。


「おー!いいじゃないか!母さんも反対はしないと思うから応援するぞ!」


「ありがとう!父さん!活躍できるかはわからんけど、できる限りは頑張ってみるよ!」


「おう!頑張れよ!」


 父さんは俺が芸能界デビューすることに反対することなく、親がサインすべきところにサインしてくれた。


 そして、契約が終わったため、神野さんは一度会社に戻るらしい。


「今日はありがとうございました!また、仕事が決まりましたら随時、連絡させていただきます!これからよろしくお願いします!」


「はい!俺の仕事を探すのが大変かとは思いますが、よろしくお願いします!」


「そんなことはないとは思うのですが……」


そんなことを言いながら、神野さんは車を走らせる。


 俺は出発したのを確認してからリビングへと戻る。


「じゃあ、私は帰るから」


「お、おう。桜が急に呼びつけて悪かったな」


「そんなことない。呼んでくれてよかった」


「そうか。あと、神野さんから貰った雑誌を大事そうに抱えなくてもいいぞ?俺、破ったりしないから…」


「ん、確かに」


(そういえば、穂乃果もコスプレ雑誌を何に使うんだろうか?穂乃果も桜と同じようにコスプレに興味があるとか?)


 そんなことを思いながら、断ると怒り出すので、渋々、穂乃果を家まで送り、明日の学校に備えて寝る。




 翌朝、俺は桜とテレビを見ながら朝食を食べていると…


『えー、次のニュースです。昨日発売された、とある雑誌が、発売と同時に全ての店舗で売り切れるという現象が起き、SNSで話題となりました』


(へぇー、すごいな。1日で全ての店舗、売り切れってなかなかないだろ。どんな雑誌なんだろ?)


 俺はお茶を飲みながらテレビに注目する。


『こちらが噂の雑誌となります』


「ぶっー!」


「うわっ!お兄ちゃん何してるの!」


 俺はお茶を噴き出す。


「ごめん!ごめん!ってそうじゃなくて!なにこれ!?」


 俺はテレビを指しながら言う。


 そこには、俺がキッド様のコスプレをした表紙の『読モ』が映っていた。


「あ、SNSしないお兄ちゃんは知らないんだ。昨日の夜、その雑誌のことをSNSで調べたら、もう昼の時点では全ての店舗で完売してたらしいよ」


「えっ!あの雑誌ってレア商品なの!?」


「そうだよ。手に入らなかった女性たちの悲鳴が、ひたすらSNSに呟かれるくらい、レアな商品だよ。そして、手に入れた女性たちが、持ってない人たちを煽って、SNSが炎上してた」


「小学生の集まりか!」


(そんな理由で炎上させるなよ!)


「今までにないくらいの炎上だったんじゃないかな?だって『持ってる人vs持ってない人』って形で、ひたすら罵詈雑言が飛び交ってたから」


「oh……」


(どうやら、今後の日本はもうダメらしい……)


 俺は桜との会話に夢中となっていたため…


『このような現象が起きた理由は、表紙を飾っている男性…シロ様にあるらしく、巷では『国宝級イケメン』との二つ名が定着し始めております。また、シロ様が雑誌に掲載されている衣装を身につけて街中を歩いていたとの目撃情報もあり、その男性の正体を突き止めるべく、動き出す方々までいらっしゃるようです。今後、シロ様の活躍に注目です』


 続きのニュースを聞き逃していた。




 俺は、桜、穂乃果と一緒に3人で学校に登校している。


 理由は俺たち3人が同じ学校の生徒だから。


「ねぇ、お兄ちゃん、なんでまだ髪の毛で目を隠してるの?もう、素顔が見られたからいいんじゃ……」


「バカヤロウ!素顔がバレたからこそより一層、しなきゃならないんだ!だって、クレームの嵐だった男だぞ?シロ様ってバレたら刺し殺されるわ!」


「あ、そう。もう勝手にして……」


 何故か呆れられました。




 桜は1年生なので、昇降口でわかれる。


「シロ、はやく教室に行こ」


「あぁ」


 俺と穂乃果は高校2年生で同じクラス。


 俺と穂乃果が教室に入ると、クラスの真ん中で数人の女子生徒が円になって話をしていた。


「見てこれ!」


「あー!これ、例の『読モ』じゃん!どうやって手に入れたの!?」


「お姉ちゃんにお願いしてたんだ!」


「いいなぁ、あとで見せてー!」


「いいよ!それよりも、知ってる!?この表紙を飾ってるシロ様が、キッド様のコスプレをして、この辺りで歩いているのを見かけたって人が大勢いるらしいの」


「あー!私も昨日写真がSNSで流れてきたから見たよ!写真の場所がこの辺りだったから、多分、この辺りに住んでるんじゃないかな?」


「あ!やっぱりみんなもそう思う!?だからね、私、今日の放課後にシロ様を探しに行こうと思うんだ!みんな一緒にどうかな!?」


「行く行くー!」


「私もー!」


「おっけー!じゃ、今日の放課後は『シロ様』を探しに行こー!」


「「「おー!」」」


 俺は陽キャの会話を聞き…


「なぁ、穂乃果。俺、今日帰っていいかな?身の危険を感じたので……」


「はいはい、寝言は寝て言って」


「いやぁぁぁぁ!!!!」


 俺はハンターがウロウロしている教室へと放り込まれました。

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