第3話 何故か俺が『読モ』の表紙を飾ってるぅぅぅぅ!!!!
前回のあらすじっ!
アイドルの涼宮香織さんと出会いました。そして、俺の撮影の見学をすることになりました。以上っ!
撮影場所に移動していると、涼宮さんが俺に話しかけてくる。
「えーっと……私、涼宮香織って言います!ご存じでしょうか?」
「あ、はい。テレビで見かけますので。歌が上手で、笑顔がとても似合う女の子という印象です!」
「そ、そうですか……あ、ありがとうございます…」
涼宮さんは顔を赤くして、うつむきながら返事をしてくれる。
(しまったぁぁぁ!!!陰キャが思ってたことなんか聞いても嬉しくないよな!?でも、今さら撤回するわけにも……どうすればっ!)
俺が、内心パニックになっていると、俺たちの微妙な空気を察したのか、神野さんが俺たちに向けて話しかける。
「あ、そういえば、日向さんと涼宮さんは同い年になりますね」
「え!そうなんですか!?」
涼宮さんが驚く。
(えっ!そうなの!?)
俺も神野さんの言葉に驚く。
「涼宮さんって高校2年生なんですか!?」
「そ、そうですね。今は忙しいので学校には行けてませんが……」
(えぇ…。俺と同い年かよ。普通に俺よりも上だと思ってたわ。あ、胸が大きいから、年上と判断したわけじゃないぞ!?)
俺は誰かに対して言い訳をする。
「じゃあ、俺に対して敬語なんかいりませんよ?」
俺は涼宮さんに提案する。
「そ、そうですね。えーっと…こ、これからよろしくね!日向くん!」
「あぁ、よろしくな。涼宮さん!」
俺は涼宮さんと、ちょっとだけ仲良くなったような気がした。
涼宮さんと話していると、神野さんが扉の前で立ち止まる。
「ここで撮影をします!」
神野さんはそう言って扉を開ける。
そこには、大きな照明やカメラなど、撮影に必要な道具かたくさん置かれていた。
俺は辺りを見渡していると…
「ふふっ!初めて見るものばかりでしょ?」
涼宮さんが声をかける。
「あぁ、何に使うのかわからない道具が多いな」
「そうだよね!私も初めて見た時は日向くんみたいな反応をしたよ!」
「………さっきの俺の反応は忘れてくれ」
「なかなか良き反応だったよ!」
未だにクスクスと笑う涼宮さん。
そんな会話をしていると、神野さんと1人の綺麗な女性が俺の前に来た。
30歳くらいの綺麗な女性で、長い黒髪をポニーテールにして、背も高くキリッとした目つきをしている。
「君が神野に連れてきた日向くんだな」
そう言って、俺を見る。
「よし、合格だ」
「ホントですか!?ありがとうございます!」
神野さんがものすごく喜んでいる。
「あの、こちらの方は?」
「あぁ、すまん、挨拶が遅れた。私は芸能プロダクション『ヤマザクラ』の代表取締役社長『
そう言って右手を俺の前に出されたため、俺は慌てて握手をする。
「あ、はい。よろしくお願いします」
(ん?「これからよろしく」って言われたけど、予定は今日だけだよな?まぁ、言い間違いだろう)
「さっそくだが、撮影に移る。神野から聞いたが、1枚だけって話でここに来てもらったらしいから、約束通り、掲載用の1枚を撮ったら神野に自宅まで送ってもらうように手配をする」
「ありがとうございます」
そこまで話すと、竹内社長は他のスタッフの下へと向かい、話し始める。
「すみません、社長の言葉遣いに慣れないかとは思いますが……」
「いえ、歳上の方ですし、社長ですので、俺は気にしてませんよ」
「それは良かったです!」
そんな会話をしていると…
「ねぇ、日向くん。社長が言ってたけど、今日は代役なの?」
「あぁ、街をこの格好で歩いたら、神野さんから代役をお願いされたんだ」
「あ、そーなんだ!てっきり、今までもこの業界で活躍してたのかと思ってたよ!」
「いやいや!俺なんかが活躍できてたら、世の中の男子全員が活躍できるよ!」
「…………え、それ本気で言ってる?」
涼宮さんがジト目で聞いてくる。
「あ、あぁ。だってこの顔だぞ?」
俺が理由を説明すると…
「え、えーっと……わ、私は日向くんの顔…」
何かを涼宮さんが言おうとしていたが…
「日向くん。この椅子に座ってくれ」
竹内社長から声がかかる。
「わ、わかりました!ごめんね、涼宮さん!ちょっと社長のところに行ってくるよ!」
「う、うん!頑張ってね!」
急いで竹内社長の下へ向かっていたため…
「日向くん、ものすごくカッコいいけどなぁ」
そう、涼宮さんが呟いてたのは、俺の耳に届かなかった。
そこから俺は、竹内社長がOKを出すまで写真を撮られる。
涼宮さんは俺が撮影されるところを隅の方で見ている。
(同年代の女の子から撮影されてるところを見られるのは恥ずかしいなぁ……)
そんなことを思いながら10枚ほど撮られると…
「よし、これでいこう」
OKが出たので、俺は挨拶をすると、神野さんから…
「あ、少しお時間いただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、なんでしょうか?」
「完成した『読モ』を家まで発送させていただきますので、記入していただきたい書類がありまして……」
俺は神野さんが持ってきた書類に住所や連絡先を記入する。
記入が終わると…
「日向くん!撮影とても良かったよ!」
「えっ!ホント!?それはよかった!」
(うまく撮ることができてるか不安だったからなぁ)
「私、日向くんが載る『読モ』絶対に買うからね!」
「そ、それはできればやめてほしいんだが……」
「ふふっ!また、どこかで会えるといいね!」
「もう会うことはないと思うけどな」
「む〜!なんでそんなこと言うの!?」
涼宮さんが頬を膨らませながら言う。
「ごめんごめん!俺もどこかで涼宮さんと会いたいな」
「うんうん!じゃ、私はこれから撮影があるから!」
「あぁ、頑張ってな!応援してるぞ!」
「はーい!」
そう言って涼宮さんは、スタッフの下へと向かった。
神野さんに自宅まで送ってもらう。
「何かありましたら、私の方から連絡させていただきます!本日はお忙しい中、代役をありがとうございました!」
「いえいえ!俺もとても良い経験ができました!」
そう言って車を降りて家に帰る。
「ただいま〜」
「あ、お兄ちゃん!おかえりー!どうだった!?」
「シロ、おかえり」
「どうだったと言っても、周りの人達からチラホラ見られるだけだったぞ」
「ほ、ホントにそれだけ!?女性の方から声をかけられなかったの!?」
「あ、あぁ。声をかけてきたのは2人だけだったな」
(神野さんと涼宮さんだけだが、神野さんは代役、涼宮さんは社交辞令で話しかけてきただけだから、実質0だな。やべぇ……泣けてくる)
俺の言葉を聞くと、桜と穂乃果はショックを受ける。
「ど、どうしよ!?穂乃果さん!?」
「ん、これはもう一度作戦会議が必要」
2人は顔を見合わせて2階に駆け上がる。
(なんだったんだ?まぁ、いいか)
俺は特に気にせず、コスプレ衣装を着替えた。
1ヶ月後の12月1日水曜日。学校から帰ると、俺宛に一冊の雑誌が届いていた。
(お、『読モ』が完成したんだな)
俺は送り主から判断して開封する。
そして、その表紙を見て固まる。
(ん?キッドのコスプレをした、見たことあるヤンキーが表紙を飾ってるぞ?)
俺は見間違いかと思い、何度も確認する。
そして…
「ギャァァァァァァ!!!!何故か俺が『読モ』の表紙を飾ってるぅぅぅぅ!!!!」
俺はこの奇妙な現実から目を逸らすため…
(パタリ……)
ただの屍となった。
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