少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部

一章 少しの間、家から追い出されました。コスプレの格好で。

第1話 なぜか、家から追い出されました。

 俺『日向真白ひなたましろ』は現在、あるイベントに参加している。


 周りを見渡すと、女性の方が大勢集まっている。


「シロ様ー!今日もカッコいいです!」


「これが今、全国の女性たちを魅了している男……。カッコ良すぎる!」


「まさか私がシロ様を生で見れるなんて……。この時間を確保するために、仕事を放り出してきたが……明日、上司に怒られることなんて怖くないわ!」


 そんな声援を聞きながら…


(はぁ、どうしてこうなったんだろう……。まぁ、絶対、ハロウィンの日のコスプレが悪い)


 俺は人生が変わる、高校2年生の10月31日を振り返る。





 本日10月31日。世の中はハロウィンムード一色。


 今日が日曜日ということもあり、朝から俺の部屋では、ハロウィンの話で盛り上がっている。


 義妹の『日向桜ひなたさくら』と、幼馴染の

月城穂乃果つきしろほのか』が。


 日向桜は高校1年生の義妹で、長い赤髪をツーテールに結んでいる。美少女なため、通学路や街中を一緒に歩くと、男性が桜のことを2度見しているところを多々見かける。


 月城穂乃果は小さい頃からの幼馴染で、歳は俺と同じ高校2年生。黒い髪を腰まで伸ばした、かなりの美少女。俺に対して甘えてくることしかないので、二人目の妹のような感じがしている。胸はその……ノーコメントで……。


「ねぇ、穂乃果さん。この衣装はどうですか?」


「ん、これは少し違う。それならまだこっちの衣装の方が似合う」


「おー!さすが穂乃果さんです!この衣装ならお兄ちゃんの良さが引き出せます!」


「ん、私は幼馴染だから当然の結果」


 そして、なぜか俺のコスプレ衣装について話し合ってる。


「なぁ、俺、コスプレなんてしたくないんだけど……」


「ダメ、シロに拒否権はない。これを着て今から外を歩いてきて」


 そう言って渡されたのは、アニメでも大人気の『まじ○く快斗』や『名探偵コ○ン』に登場する怪盗○ッドのコスプレ衣装。ご丁寧に、全身白のシルクハットとタキシード、マントに片眼鏡と、装備品まで完璧に揃っている。


「えぇ、こんなの俺には似合わ……」


「はいはい!そのセリフは聞き飽きたよ!いいから、お兄ちゃんはこれに着替えてきて!」


 桜は俺にコスプレ衣装を無理やり手渡す。


「あ!普段は髪の毛で目を隠してるけど、今回はシルクハットを上手く使って、目が見えるようにしてね!」


 そう言って、桜は穂乃果と一緒に部屋から出て行く。


「着ないとダメだろうなぁ」


 桜たちの提案を断ると、ろくな目にあわないため、素直に着替える。要望通り、シルクハットに髪の毛を全て入れて、目が見えるようにする。


 自分の部屋の鏡で、着替えた俺を確認する。


「うわぁ、相変わらず目つき悪いなぁ……。この格好で外を歩いたら警察のお世話になると思うんだけど」


 俺は普段から前髪を伸ばして、目つきの悪さを隠している。そのため、学校では友達がいない。


 いつも、桜から「前髪を切って!目を出す方がカッコいいから!」と言われ、穂乃果からも「その前髪ダサい。はやく切って」と言われる。


 俺は2人が言うことに納得できないため、現在も前髪で目を隠し続けているが……。


 俺は着替え終わったため、部屋の外で待機してるであろう2人に声をかける。


「お兄ちゃん、入るよー」


 そう言って桜と穂乃果が部屋に入る。


 そして、2人とも固まる。


「お、おい!どうした!?やっぱり似合ってないよな!?」


「い、いや!そんなことないよ!と、とてもカッコいいよ!お兄ちゃん!」


「ん……カッコいい……」


 顔を赤くして慌てて言う桜と、顔を赤くして目を合わせてくれない穂乃果。


「そうか、お世辞ありがとう」


(俺の顔を見た瞬間、2人とも固まったってことは、俺の目つきが2人を威圧したに違いない。これはいつものようにお世辞だなぁ)


 俺は改めて、目つきの悪さに落胆した。


 その間…


「この格好で外を歩けば、いろんな女性の人たちから話しかけられ、自分がカッコいいことを自覚する。さすが桜。ナイスアイデア」


「うん!お兄ちゃんが容姿に自信をもてば、私たちのアプローチに対して悲観的に捉えてたところを、前向きに捉えてくれるかも!」


 2人でコソコソ話してた声は俺に届かなかった。


 そして…


「じゃ、お兄ちゃんは、しばらく家に帰ってこないでね!」


「ん、留守は私たちに任せて」


「…………………」


 なぜか、家から追い出されました。

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