現代で元勇者は無双したい

ジョージさん

第1話 ようやく帰ってきた



ここは異世界ルナガイア。

魔王が世界を支配しようと企んでいた為、人類はそれに抗うように各国で同盟を結び、魔王の軍勢に立ち向かっていた。



数多くの魔物と魔族による攻勢により、劣勢を強いられていた人類は、古より伝わる勇者召喚術を行った。異世界より召喚された勇者は強くなるために魔法や剣の訓練に励んだ。

魔王を倒せば元の世界に帰れるということだけを糧に頑張った。



そして強くなった勇者率いる各国による連合軍は、徐々に人類の生存圏を取り戻していった。そしてついに魔王城に突入し、魔王との最後の戦いが終わろうとしていた。



「これで終わりだ!アルティメットブレイク!」



「ぎゃあぁぁぁぁぁすっ!」



「・・・終わったのか?これでようやく帰れる。はぁ、疲れた」





こうして魔王を倒した勇者は、各国の王や姫、貴族や教会やら様々な関係者から、この世界に留まることを強く請われたが、世界を救ったことで自分の役目は終わったのだと伝えると、元いた世界へと送還してもらったであった。





そして勇者は現代日本に帰ってきた。時は進んでおらずに、あの日の時刻そのままであった。

勇者になる前は、高校三年生の卒業式の帰り道であった。



彼の新しい人生設計はそこから始まったのである。





俺の名前は、木村安也きむらやすなり

仲の良い者からはヤスくんとかヤスとか呼ばれている。

見た目は普通。正に中の中。中肉中背の高校生だ。もう卒業式終わったから元だけど。



「さて、じゃあ早速だけど確認してみますか。ステータス!」



そう叫ぶと俺の目の前にゲームの画面のようなものが浮かびあがる。



「よしよし。ちゃんとこっちでも使えるかな?・・・『灯火トーチ』!」



俺の指先からライターの火より少し大きい火が灯る。これは異世界で学んだ魔法だ。



「んじゃ次は、アイテムボックスだな」



異空間に手を入れて中からパンを出してみる。これは異世界でよく食べたクソ固いパンだ。それはともかくアイテムボックスもちゃんと使えるようで安心した。



「それじゃあ新しい人生設計でも考えながら、久しぶりのジャンクフードでも楽しみますか!」



そうして俺は近くにあるハンバーガーショップへと、ルンルン気分で向かったのであった。




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