第7話 スカートと衝撃の事実
父さんと飯を食いに行った翌日。
いつものように登校し、途中で車に轢かれそうだったタヌキを助け遅刻した。
昨日、リリーにも注意されたから授業も真面目に受けた。物理の先生が『今から自由落下運動を説明する』といって窓から飛び降りようとしたのを全力で止めた。
「ふへェ」
やっと息をつけたと思った昼休み。
そいつは突然、現れた。
「おい、与太郎」
少し高い、特徴的な声。
「え?」
そいつがこの場に居る事ですら、驚きなのに。
目の前の光景に、
「お、おい。噓だろ?」
俺はフリーズしていた。
「は? 何言ってんだ、ピエロ野郎」
相変わらずの生意気な口調。
学校に来たことでストレスが掛かってるのか、ムスっとした表情。
「
親友が、
「スカート
ありえない格好で現れた。
「なんでって、当たり前だろ。女子なんだから」
俺の中で、何かが崩れる音がする。
「おい、与太郎。まさかお前……」
伸ばしっぱなしのキレイな黒髪を乱雑に束ねている。小柄で可愛らしい姿に反した、狂犬みたいな性格。まぁ童顔なせいで、なんか子犬が一生懸命吠えてるみたいなんだが。
俺の親友は、
「ボクのこと、男だと思ってたのか?」
どうやら美少女だったらしい。
性別、女性。
好きなモノ、ゲーム。
嫌いなモノ、退屈な奴。
不登校理由、ゲームで忙しかったから。
「どうした、与太郎。ボクの制服姿に見とれたか?」
イタズラっぽく微笑む、目の前の美少女。
「ぱ」
「ぱ?」
首をかしげて、
「ぱぁああああああああああああああ!!(発狂)」
俺の情緒は狂った。
*
数秒後。
「は……はにゃ?」
旅立ちそうになった理性がカモンアゲイン。
クラスの連中の声がする。
「普通、女子と男子間違えるか?」
「いや、でも与太郎だし」
「つか、
「お、与太郎。起きたか」
正気に戻った俺にクラスメイトの一人が手を貸してくれる。
「えっと……あの後どうなった?」
「こうなった」
友人が指さしてくれた方向へ視線を向ける。
そこにはリリーと
「初めまして、
リリーもスカブラしてたんだ……
あとでフレンドコード送っとこ。
「よろしく、
「ふふん、公式大会では『淫乱ピンク』で名を馳せてるんですよ」
得意げに語るリリー。
「え、マジ? ボク『貧乳ブルー』なんだけど」
ゲームの話ができて嬉しいのか、興奮気味の翔。
「どっちもヒデェ名前だな」
もうちょっと良いの無かったのか、彼女らのアカウント名は。
「何と?! 私のライバルがこんなとこに!!」
「そっちこそ、絶対おっさんだと思ってたのに!!」
おっと二人の様子が何だか不穏。
バチバチと目線が交錯してるする中、両者とも手を出し……
「ちょ!」
リアルファイトは御法度だぜェ!
「二人とm」
「「次こそ勝つ!!」」
俺の心配を
「……友情、生まれたちゃった」
なんだろう、親友とできたばかりの恋人を同時に失ったような
コレが脳を破壊されるってやつか……
「
百合カプ保存委員会の友人に釘を刺された。
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