彼は今も私をつけ狙い、この貧弱な喉に手を伸ばす過去なのです。逃れようと走りますが、行き先は逃れようのない死。私は懸命に今を手放すまいと、暗い夜の端に浮かぶ日輪に手を伸ばし、九死に一生の朝を得るのです。


過去は今日も私を殺そうと

するり

  するり

手を伸ばします。


私はそれを

 ひらり

ひらり

躱しながら

ようやっと明日に向かって

生きています。


命は死に収束しながらも

過去からの追手を逃れようと

我武者羅に明日へ手を伸ばす

愚かで儚い

必死の中に

今日も揺蕩っておるのです。

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