第17話 責任
「だから、俺と結婚してください」
「だから、何言ってんの」
俺のプロポーズに対し凛音は困惑、どころかドン引きしていた。
「で、OK?」
「NG」
「まさか結婚するのか、俺以外のヤツと」
「結婚しないって言ってんだよ!」
「ああ、俺たちまだ学生だもんな」
「そういう問題じゃなくて」
「じゃあ卒業後に結婚ってことで」
「結婚はしないって!」
「そうか、これじゃ結婚じゃなくて婚約か。失敬失敬」
「婚約もしない!」
「そうだよな。婚約の前にご両親に挨拶しなきゃな」
「頼むから少しは僕の話を聞いてくれよ……」
「ああ、聞くぜハニー」
「気持ち悪い呼び方するなぁ!」
凛音が癇癪を起こしたので少しだけ真面目に話すことにする。
「あの流れから何でプロポーズなんだよ!」
アドレナリンが出ているのか元気そうな凛音だが、疲労感からか未だに寝ころんだままでいる。俺はそんな彼女を見下ろしながら、真剣に答える。
「男として責任を取らないといけないから」
「責任?」
凛音はそれが何のことだか見当もついてないようで、不思議そうに目をパチクリとさせていた。それでもこれは俺自身が決めたことだ。男に二言は無い。
「裸を見ただろ。事故とはいえ裸を見てしまったんだ。男として責任を取るほかない。実に綺麗な裸で、裸に罪は無いが、それでも裸だから――」
「ハダカハダカ言うなっ!!!!」
「お゛ぅふ!?」
股間に猛烈な痛みが走り全身へと衝撃が響いた。仰向けで寝そべる凛音の前蹴りが下から突き上げるように金玉を押し潰したのだ。たとえボクシングのヘビー級世界チャンピオンでも一撃喰らえば卒倒ものだろう。当然俺もだ。
俺は、目の前が真っ暗になった。
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