【藁稭長者】のシークレット・メソッド ~能力者だらけの学園で目的を達成するための方法~ 

くらんく

第1話 父曰く


 親父が言うには、世界はあまり変わらなかったらしい。


 40年という時間が流れても、政治は腐敗を続け、エネルギー問題は解決せず、国際情勢は悪化の一途を辿っていた。


 技術の発展や医療の進歩は人類の歩みを進めてきたが、それを用いる人間の精神はほとんど成長を見せなかったようだ。


 そんな中でも人々の悪意は留まることを知らず、世界をより良くするための力も、発明も、システムも、悪意によって使い方を誤り、本来の実力を発揮することができずにいた。


 世界を良くする力と己の欲望のために使われる力。それを取り締まるための新たな力と、更にそれに抗う次なる力。


 悪意と正義のイタチごっこ。


 そうして人類が進歩と停滞を繰り返した結果、世界は40年をかけてほとんど形を変えなかったのだ。




 ただ一点、『魂言術師こんげんじゅつし』という異能力者が生まれたこと以外は……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る