どうでもいいもの

キャラクター

人生を諦めたから

何かを演じる必要を失った

そしてぼくは　何であってもいいと思えるようになった

ぼくは犯罪者　ぼくは極悪人　性犯罪者　大量殺人犯

それでもいいのだと思った　そうでありたいとさえ思った

どうしてだろう　ぼくは人間が嫌いになってしまったのだろうか

きっと嫌いになったのだろう

ぼくはぼくを愛してくれる人の

奇妙な誤解に付き合ってあげるだけの愛情を持っていなかった

めんどくさかったのだ　何もかも

冷たく突き放して　その現実の感触に愉悦を感じた

ごめんね　悪いとは思っている　でもぼくは悪い人間なんだ　だから悪いことをしても何も不思議じゃないんだよ

それに気づいてほしかったんだ　わかってほしかったんだ　ぼくは善良になんてなりえないんだって

善良さを演じる自分に吐き気を感じて　背負いきれない重荷に耐えかねて

普通を放棄した　ぼくは悪い人間　殺されても文句が言えない人間　そうでありたかったんだ

その方が楽だから　それならなんの義務も課されずに済むから

期待されるのも期待に応えるのも嫌いだったぼくは

それを表現するすべさえ持たなかったのだ

あなたのことが嫌いだ

その一言だけを探していた　どこにも見つからなかった

あなたのことが嫌いだ

ずっとそれだけを言いたかった　たとえその言葉がぼくを蝕んだとしても

言わずにいたことで蝕まれ腐り落ちたぼくの人生と比べれば　どうでもいいことのように思えたんだ

人を傷つけることに躊躇したくなかった　それができなかったから陰湿になった

忘れない人間になった　自分が嫌いな自分になった

愛したかったんだよ　本当は

愛せなかったんだよ　本当に

誰かがぼくを殺してくれればよかったのにと　なんどそう思ったことだろうか

今はただ迷惑だ　あぁ　迷惑なんだよ　何もかも

自分の殻に籠って　伝わらないことにむしろ喜んで

愛よりも孤独を好んで　それを触って確かめて

自らの生と選択に　熱を感じた　それだけが生きている実感だった

あらゆる利益よりも　ただ実感が欲しかったのだ

だからそこにあるのは火で十分だったのだ