第33話 結果
「試験終了! 止め!」
本日金曜日。
三日間に及ぶ、長いようで短かった期末テストが終了した。
「終ったぁ!」
「どうだったぁ?」
教室内は安堵の声をあげる者、互いに手ごたえを聞きあうものなどと様々だった。
進学校といえど、やはり人間は勉強というものを嫌う傾向にあることをこの瞬間に感じることは多い。
その後は霧島先生が戻ってきて『お疲れさん』との一言で、帰りのホームルームは特に何かを話したりせず下校というかたちになった。
これで全てが終了し晴れて夏休み……なんて甘い世界ではない。
結果によっては貴重な夏休みに補習という地獄が待っている。
「帰ろうぜ! 悠!」
翔太はいつもよりも高めのテンションで肩を組んでくる。
「わかったから、その手をどいてくれ」
「お、おう」
「それで、テストはどうだったんだ?」
テンションからある程度察することは出来るが、もしかしたら自暴自棄になっているだけかもしれないため聞いてみる。
「ばっちりよ! 多分どれも半分くらいいってんじゃねえかな」
「よかったな」
俺の予想通りのラインだった。
「悠は?」
「ミスがなければどれも満点なはずだ」
「うわ。うざい通り越して神かよお前」
どういう通り越しで神になったのかはわからないが、やはり点数良いとうざいと思われがちだよな。
「帰るぞ」
「お、おう……」
俺たちは今度こそ家に帰ることにし教室を後にした。
☆☆
『どうだった?』
その日の夜、俺は白川にテストの手ごたえを聞いていた。
『た、多分だけど予定通りいったと思う』
『そうか。よかった』
『吉田君はどうだった?』
『どれも満点かな』
『うわぁ。やっぱ凄いなぁ』
『ありがとう。じゃあ俺はこれで。おやすみ』
『おやすみ! また月曜日ね』
眠たかったので寝ることにする。
スマホの電源を切って部屋の電気を切ろうとした時だった。
スマホの通知が鳴り響いた。
送り主は白川だった。
『あのさ。もう少しだけいい?』
『構わないが』
『夏休みのことなんだけどさ……』
この後もう少しだけメッセージを送り合って俺は寝ることになった。
☆☆
そうして迎えた月曜日。
各学年のフロアにはそれぞれ学年順位が記載された大きな紙が貼りだされる。
「うっわぁ。緊張するなぁ」
掲載は登校時間より前に始まっているため、多くの学生が見に来ていることが多い。
靴を履き替えながら、早くも翔太は緊張しているようだ。
そうして俺たちは掲示板付近に到着する。
予想通り多くの人間で賑わっている。
自分の点数に歓喜の声をあげる者。
その低さに絶望し言葉を失うものなど様々だった。
「たのむ、たのむ!」
翔太は相当緊張している様だ。
でも大丈夫だろう。
あれだけやったら赤点は絶対に回避できてる。
一方の梨花は何も言わないものの、その雰囲気からいつもより緊張しているようだった。
前の生徒が少なくなり、いよいよ結果が目視できるところまで来た。
「……まじか」
その結果を見た俺は、思わずそう呟いていた。
「よっしゃあ! 俺学年で真ん中だ!」
よかったな翔太。
だけど今は他人の結果にどうこう言えるほどの余裕はないんだ。
俺の学年順位は二位だった。
俺を差し置いて上に名を連ねるのは……新庄ではない。あいつは俺の一つ下だ。
今回の学年トップは……。
「あ、吉田君! わ、私……」
いつの間にか横に白川がいた。
「白川……すごいな。お前」
「私やったよ!」
学年一位……それはこの白川茜だった。
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